では、銀行は、規制強化になる可能性が十分にあると判断したにもかかわらず、その危険を考慮したとしても経済的に採算が合う条件ならば、融資してもいいのか。この論点については、銀行の問題としてよりも、発電事業者として、規制強化になる可能性を承知のうえで旧規制による石炭火力発電所を駆け込み的に建設することは社会的に許容され得るのかが検討されなければならない。そして、社会的に許容され得ないということならば、それに加担することは、銀行として、経済的に融資可能ではあっても、多くの場合、社会的に融資不可能ということになると想像される。

しかし、注意すべきは、ここで社会的にという意味は、環境問題についての銀行の見解に基づいてということではなくて、単に、世論の批判を浴びる可能性、名声や評判に傷がつく可能性、融資判断の背景等について説明を求められる可能性等を考慮してということである。銀行としては、どこまでいっても、環境問題についての銀行固有の信条に基づく融資判断はできないはずである。

森本 紀行 HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 HC公式ウェブサイト:fromHC twitter:nmorimoto_HC facebook:森本 紀行

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?