拙速、前のめり
この失望感は大きい。なぜなら、神恵内方式は地元住民のコアな層、それは例えば地元商工会などの意向を受けて、議会で請願が採択され、それに基づいて首長が判断するという、一見すれば民主的な手続きにも見える。そのような民意を受けたプロセスも、首長の判断一つで反故にされてしまうのである。
今年4月政府は核のごみの最終処分問題に全面的に国主導で働きかけ、文献調査の受け入れ自治体の数を増やすと閣議決定していた。一方、事業者にとっては、寿都町・神恵内村の文献調査はすでに2年以上過ぎており、第3の候補が喉から手が出るほど欲しかったに違いないからである。
ここで私たちがじっくりと考えなければならないのは、市長の判断の背景には「今回は拙速だった」という思いがあったことである。
国の力強いサポートがあり、しかも事業者NUMOは寿都・神恵内に続く候補がなかなか出てこあいことへの焦りもあった。神恵内方式なら上手くいきそう—それらが重畳して国も事業者も前のめりになっていたのではないかとも思える。
対話から合意形成へ—最高未来責任者(CFO)急いては事を仕損ずる。拙速であってはならない。
利害関係者(ステークホルダー)が意を通じ合って、何かを一緒にやろうという〝協働〟の機運が醸成されないと何事も始まらない。そのさきにようやく合意形成への道が見えて来るのではないだろうか?
そのためには情報共有(コミュニケーション)と対話(ダイアローグ)が前提となると思う。
特に対話のためには、スエーデンのハンナさんのような人物が推進側の事業者には欠かせないと思う。
事業者NUMOは設立から20年以上経過するが、高校生の指摘を待つまでもなく〝ハンナさん〟のようなパーソナリティーは見当たらないようである。
今からでも遅くはない。そのようなパーソナリティーを育てるほかないのではないか。
ひとつの提案がある。NUMOは高校生から最高未来責任者(Chief Future Ofiicer:CFO)を募って、対話の方法論と実戦への道を拓いていくのはどうだろうか。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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