川崎フロンターレ 写真:Getty Images

 川崎フロンターレの天野春果プロモーション部・部長が、今季限りでの退団を表明。クラブに「地域密着」を文化を定着させた功労者のSNS投稿に、ファン・サポーターから驚きの声が上がっている。

 天野氏はアメリカのワシントン州立大でスポーツマネジメントを学び、1996年のアトランタ五輪にボランティアで参加。帰国後は複数のサッカークラブから不採用を告げられながらも、1997年に川崎フロンターレの前身である富士通川崎フットボールに採用された。

 そして2000年代はじめに日韓W杯の運営で出向。川崎に復職後、プロモーション部の部長に就任し、地域密着イベントなど画期的な企画を相次いで実施。ファン・サポーターから絶大な支持を得る中、2021年の東京五輪でも大会組織委員会に出向していた。

 そんな天野氏は、明治安田生命J1リーグ第29節アルビレックス新潟戦の2日後である10月1日にX(旧ツイッター)を更新。「ご報告」と題して、以下のように投稿している。

 「シーズン途中での報告ですが、今季終了をもってフロンターレを退職することになりました。どのJクラブにも入社を断られた僕を初のプロパー職員として採用してくれたクラブ、そしてサポーターには感謝しかないです。残り3ヶ月、川崎27年間集大成。噛み締めて活動します!」

 この突然の退団表明にファン・サポーターから「本当に寂しいよ…」「今までありがとうございました」「マジか」「地域活動どうなるんだろう?」などと、数多くのメッセージが寄せられている。

 なお川崎のサポーター団体『川崎華族』は今年4月、YBCルヴァンカップの浦和レッズ戦後に「地域密着は後回し。功労者は次々と辞めていく。吉田、富士通体制の事業方針はこのままでいいのか?」、「PwCさん、地域から愛されるフロンターレへ導いてください」、「どんな時も俺達は鬼木フロンターレを後押しし続ける」と書かれた横断幕を掲出。地域密着を軽視していると、現体制に抗議した。

 これに対して、川崎の吉田明宏代表取締役社長は公式サイトを通じて謝罪。功労者の相次ぐ退職について、以下のようなコメントを残していた。

 「クラブの創設からこれまで関わってきてくれた社員の退職については、会社としては苦渋の決断ではありますが、双方合意の上での円満退社となっております。スポーツビジネスは、まだまだ成長段階にあります。家族のことや将来を描いた際に、転職という選択肢をとる者が多いのも事実です。地域の皆様と向き合うのと同じように、従業員にも誠心誠意向き合い、環境改善等にも着手していきたいと考えております」