例えば、新聞を毎日読む年齢層を調査したところ、60歳以上は依然、70~80%が新聞に目をやるが、14歳から19歳の若者は30%と少ない、若い世代はもっぱらインターネットのオンライン情報に集中し、紙の日刊紙を金を払ってまで読む習慣はない。ということはその若い世代の10年後、新聞を読む人が更に少なくなることは一目瞭然だ。
米紙ニューヨーク・タイムズは久しくオンライン購読者の獲得に力を入れ、現在は同紙の購読者の80%以上がオンライン購読者だ。ローカル紙だった英紙ガーディアンが世界の主要メディアにまで発展できたのもインターネットへの進出があったからだ。
10年後、長くても15年後には、日刊紙の紙媒体は消滅するだろう。昔の紙媒体の新聞を読みたければ、国立図書館に行くしかない。情報を提供するメディア側は毎日の情報を電子版で報じ、週刊誌、月刊誌の紙媒体で詳細な情報を提供する、といった「日刊紙」と「週刊誌・月刊誌」の間で暫くの間、棲み分けが進むのではないか。
人間は情報への願望を持っているが、カルテンブルンナー氏は、「新聞が報じる情報を信頼すると答えた人は全体の40%に過ぎず、60%が情報の信頼性を疑っている。特に、新型コロナウイルスが席巻した過去3年間で多くの人はメディアが報じる情報を疑い出してきた」と述べている。「情報とその信頼性」はメディア業界が抱えているもう一つの大きな問題だ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年9月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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