外国人との二重価格でよく聞くのが北米の大学など教育機関への授業料が数倍差になっている点です。これはある程度説明がつくと思います。教育機関は国家が将来の自国の若者を育成する場であり、その伝授の中で外国人にそれを分け与えるには当然、別建ての授業料は必要だという発想です。また将来に渡りその教育をベースにその国で貢献すれば税金として国家に還元されますが、留学生は「おいしいところ」だけをかじって卒業すれば自国に戻るケースが多いわけで、外国人向け授業料設定はやむを得ないだろうと思います。

ところが日本の大学などは外国人向けの二重価格があまりないのが実態です。プレミアム料金を払って入りたい大学が無いのかもしれませんし、大学側が経営戦略の一環で単に学生数を増やしたい一心で差別価格を導入しないという理由もありそうです。

個人的にはあからさまな外国人への差別的価格は好ましくないと考えています。理由の一つが日本は発展途上にある国と違い、世界に誇るリーダー国であり、施設入場料金などで不用意に差をつけることは国際社会には芳しいわけではないのです。それをするなら戦略と明白な価格差の理由付けが大事でしょう。たとえばニューヨークのメトロポリタン美術館はNY州の在住者は入場料が寄付方式でそれ以外の州の人や外国人は大人30㌦を払わねばなりません。これは外国人差別ではなく、地元民への配慮という形です。

マイナンバーカードを提示すれば安くなるとかインターネットで事前購入する際にマイナンバーを打ち込めば一定の割引料金を得られるといった形にするなどあまり表立って外国人との差別価格を打ち出すべきではないと思います。むしろ、外国人が来ることによって潤う業種も多いものです。地方のホテルや飲食店も外国人が落とすお金をありがたく思っているところも多いのです。

日本経済について将来を危ぶむ声が聞こえてくる中、観光立国は他国がまねできるわけではなく、極めて強いポテンシャルがあること、そしてそれが日本経済には大きな支えになることは理解すべきだと思います。また日本が島国環境の中、日本にいても外国人と接する機会が増えるということは子供や若者世代がそれらの人との接点を持ったり、国際感覚を多少でも身に着けるにも役立つのではないか、と考えています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年9月28日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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