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ニューヨーク州裁判所の判事から、詐欺を犯したと認定されたトランプ前大統領。27日の審問で、トランプ氏の弁護士らは判決内容の明確化を求めた。

ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官がトランプ一家や一族の企業に対して起こした裁判の一環で、アーサー・エングロン判事は26日、司法長官は、被告人らが2014年から2021年の間に作成した財務書類で資産を過大評価したことを裏付ける決定的な証拠を提出したと述べ、トランプ氏らには銀行や保険会社を欺いた責任があると認めた。

その中で、ニューヨーク州の一般商法の下でトランプ氏や息子ら、幹部が管理、所有する組織によって提出されたすべての証明書を取り消し、10日以内に組織の解散を管理する独立した管財人を指名するよう命じた。

CBSニュースは専門家の話として、証明書は州に承認されると、州内で事業を行うことが法的に認可されると伝えている。

ニューヨークポスト紙によると、トランプ氏の弁護士は27日の法廷で、判決はトランプタワーや40 Wall Stなどの資産について売却を想定しているのか、それとも管財人によって管理されるだけなのか明確化を求めると、判事は「裁定を下す準備はできていない」と返答したという。26日の裁定は部分的な略式判決とされ、判決が下されなかった争点については、10月2日に始まる陪審なしの裁判で審理が行われる。

トランプ氏の弁護士は判決を「事実と準拠法から完全に乖離している」と非難。上訴する意向を示している。

判決の影響について、マンハッタン地検の元検察官ジョン・モスクワ氏はビジネス・インサイダーの取材に「驚きの判決」と述べつつ、「もはや企業ではないということで、判事は、資産を引き継ぎ裁判所が適切と判断するように分配する第三者を指名することになる」と語った。

金融犯罪が専門の元検事、ダイアナ・フローレンス氏は、トランプ氏は不動産の所有者であり続けるとする一方、「人が死ぬことに匹敵する。亡くなった人は財産を売ることができない。それができるのは遺産執行人で、この場合は管財人だけだ」と語った。

企業の破産プロセスと同様に、管財人は資産売却が済むまで家賃の徴収や納税、請求書や給与の支払いを続けると説明。トランプ・オーガニゼーションの唯一の受益者であるトランプ氏は、債務と負債がなくなった後の残りを受け取ることになると述べた。

トランプ氏がニューヨーク以外の事業体に資産を移して運営を継続できる可能性については、「もはや責任者ではないので、それはできない」と語った。「管財人は裁判所に責任を有し、トランプ氏は指示することはできない」と加えた。

26日の判決で判事は、トランプ氏の一連の物件を挙げ、資産が水増しされた状況を詳述した。

トランプタワーのトリプレックス

Trump Tower
©mashupNY

トランプ氏が大統領になるまで暮らしていたトランプタワー最上階にある高級コンド。2012年から2016年の間、実際の床面積の3倍近くの面積をベースに資産価値を算出した。