遊びながら強くなる?LEGOのサッカー企画

イングランドでは今年6月、玩具ブランドLEGOグループが英国女子サッカー選手4人とタッグを組み「Unstoppable FC(アンストッパブルFC)」を立ち上げた。この企画は、元々5月にレゴグループが打ち出した「Play Unstoppable(遊びは誰にも止められない)」というキャンペーンの一環で、子どもたちが男女の境界線なく自由に遊ぶことを応援するというユニークな内容だ。

遊びと一口に言っても、テレビゲームやスポーツ、音楽、芸術など幅広い分野が存在する。それらの多くに対し「男の子らしくない」または「女の子らしくない」という社会に根付いた固定観念によって、参加を足踏みをしている子どもたちはまだまだ多い。そんな観念を気にせず、好きなジャンルに自由に挑戦しよう!というのが、このキャンペーンだ。

6月6日に発売されたレゴセット『フィールドのヒーローたち』では、元アメリカ女子代表のFWミーガン・ラピノー、FW永里優季(シカゴ・レッドスターズ)、FWサム・カー(チェルシー)、FWアシサット・オショアラ(バルセロナ)の4選手がミニフィギュアとして登場。サッカー商品にも積極的に女性選手を起用している。

このキャンペーンの一環として誕生した企画がアンストッパブルFC。アンバサダーにはFWレイチェル・デイリー(アストン・ビラ)、FWローレン・ヘンプ(マンチェスター・シティ)、FWサム・カー(チェルシー)、FWベス・ミード(アーセナル)ら4人の英国女子サッカー選手が名を連ねている。

まずはこのトップスター選手と一緒にサッカーを体験し、選手達からの直接指導でボール技術のスキルを磨き、レゴブロックで一緒に遊ぶ。子どもたちは選手との体験を通じてポジティブな感覚を養い、困難や障害と対面した際、それを乗り越える回復力と忍耐力、再び立ち上がるための強さと自信を獲得する。

一見するとあまり結びつきがなさそうに思える玩具ブランドと女子サッカーだが、「遊び」の概念を打ち壊すことから生まれたこの取り組みは、人間の根本的な部分を育てる活動としてとても興味深い。想像力を掻き立てるレゴブロックを通じて、参加する子どもたちは選手から様々なことを学ぶだろう。


サッカーをプレーしている少女 写真:Getty Images

次世代の新しい価値観へ

「女子サッカー」という文字を至る所で目にするようになった近年。世界的に活躍する女子選手の輝かしい栄光などポジティブな話題から、性別における金銭面での問題などネガティブな話題まで幅広い情報が取り上げられている。いずれにしても、サッカーというスポーツが男女の垣根を越えて世界中の人々を夢中にさせていることは事実だ。

これから多くのことを吸収し成長していく子どもたちには、これまでの固定観念にとらわれることなくサッカーを楽しんでもらいたい。そのきっかけの一つとして、前述の取り組みは大きな一歩となるだろう。選手自らが経験した挫折や成功体験など、サッカーを通じて子どもたちに伝えられることは多いはずだ。第一線で活躍する選手との想い出を胸に育った次世代の選手たちが、今後のサッカー界を新たな方向へ大きく飛躍させる日は近いかもしれない。