予想外の大物ヒット
上流に向かって遡行していくにつれて濃くなっていく魚影、水温もヤマメの適水温なのか随所で15cm~24cmクラスを立て続けにキャッチします。そんな中、折り返し地点の滝がある区間まで辿り着きます。その区間の渓相は両岸が切り立った岩盤の峡谷で水深は深くても膝上ほどでその中でも程よい流速の深みを探ります。
それまでミノーのみで釣り上がってきたのでここでは違うアプローチとしてスプーン5gに切り替え、河原に鎮座している岩に隠れながらダウンクロスでキャストします。スプーンがヒラヒラと明滅しながら岩盤の暗がりをかすめると白っぽい影がスーッとスプーンの背後に付いた瞬間クイっと絞り込まれるロッドティップ。すかさずアワセを入れるとまるで尺上イワナを掛けた時のような水飛沫とドラグを引き出す重量感。
ヤマメとは思えず一瞬「イワナかな?」と思いながらランディングネットを手にロッドを立てながら岩陰から身を乗り出してみると今まで見たどのヤマメよりも大きなヤマメが上流に向かって鋭いダッシュを繰り出していました。
35cm尺上ヤマメに興奮
大きく弧を描くロッドにジリジリと鳴り響くドラグ。今までヤマメにここまでラインを引き出された事はなく全くの想定外の大物。絶対にバラすまいと慎重にやりとりしてネットイン。恐らく今まで渓流釣りをしてきて1番慎重だったと思います (笑)。ネットに横たわったそのヤマメを見て「YOOOOOO!!」と思わず叫びました。
そのヤマメはやや金色がかった体色に紅い尾鰭と鼻が落ちた鮭のような尖った顔つきの完璧な雄ヤマメでした。メジャーを当てるとサイズはなんと35cm。それまでの筆者の自己記録32cmを大きく引き離す大記録です。
手早く撮影してヤマメをリリースするとまるでかき消えるかのよう一瞬で姿が見えなくなりました。今にして思えばあの体色は川底の色にに溶け込むためのものであそこまで大きくなるまで多くの危険を回避出来た理由かもしれません。
恐らく今後も破れない大記録
この川沿いには林道などなく、帰りは川通しで下るほかありません。ジリジリと焼くような暑さの中での帰路でも達成感に満たされた歩みは軽いものでした。
尺ヤマメというただでさえ難しいターゲットで35cmというサイズは大記録。これを更新するには40cmに迫る超大物を手にしない限り難しいでしょう。
<小峠龍英/TSURINEWSライター>