アルコール分解能力には個人差があるため「ひと眠りすれば…」は危険

アルコールに対しての処理能力(分解能力)は、個々人で大きな差があります。身長、体重、お酒への耐性などが人によって異なるため、お酒を飲んでからどれくらいの時間でアルコールが完全に体内から姿を消すのかは、定義づけすることが難しいのです。
よく例として挙げられるのは、特にお酒に弱くない体重70㎏程度の人で、1時間あたりに5gのアルコールを処理できるという指標です。中瓶の瓶ビールには約20gのアルコールが入っているので、1本飲むとアルコールを分解するのに必要な時間は4時間となります。
ただし、これはあくまでも数値の決まった計算上の論理です。
アルコールに強い、弱いというのは、近くで一緒に飲んでいる人との対比で示されるものであり、数値化された定義はありません。個々人それぞれが、自分が何時間で5gのアルコールを分解できるのかを知るのは極めて難しいでしょう。
したがって、瓶ビールを1本飲んで4時間経過すればアルコールを完全に処理できる人もいれば、逆に分解しきれていない人もいるということです。
こうした計算は全ての人に平等に当てはまるわけではないので、ひと眠りすればクルマが運転できると考えるのは、非常に危険なことと理解していただけるのではないでしょうか。
むしろ仮眠によりアルコールが抜けにくくなる?

筆者が医師に話を聞いたところ、アルコールを分解する時間は、眠ることによって長くなる可能性があることが分かりました。
医師によると「人が眠っていると、同時に内臓も眠っている状態になります。起きている状態と比べて、内臓が眠っている状態では、アルコールを分解するのに約2倍以上の時間がかかることもあるのです。」と話します。
つまり、中瓶の瓶ビール1本分のアルコールは、起きていれば4時間で分解できる人でも、眠ってしまうと8時間以上かかる可能性もあるということ。
飲酒する量にもよりますが、飲み会の後は最低でも8時間~12時間の睡眠が必要ということになります。少なくとも、2~3時間仮眠しただけではアルコールの分解は難しいでしょう。
また、大量の汗をかけばアルコールが抜けていくというのも誤りのようで、アルコールは肝臓で分解されない限り体の中からほとんど抜けることは無いというのです。
逆に汗をかくことで体の中から水分が抜けていき、血中アルコール濃度が高くなる傾向になるため、汗をかきアルコールを排出しようとする行為は、大変危険な行為ということでした。
もちろん、20gのアルコールが4時間で分解されるというのはあくまでも目安の数字。途中睡眠をとる場合や、飲酒後の水分摂取量の違いによって、完全に分解されるまでの時間は2倍近くになるということを、ハンドルを握るドライバーは、常に自覚しておくべきです。
お酒を飲むときには、必ず翌日の予定をチェックすること。もしも次の日にクルマを運転する機会があるならば、前日の飲酒は控えるのが、ドライバーとしての責務ともいえるでしょう。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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