しかし、寄付という予測のつかない資金をあてにしていては、事業運営できない。そこで、寄付金を事業支出に充当するのではなく、寄付金で財団を作り、その運用収益を費消するのである。故に、税制優遇措置としては、寄付者にとって寄付金が損金算入できることだけではなくて、財団の運用収益を非課税にすることも必要なわけである。

長期投資という名のもとで大きな誤解があるようだが、資産運用には運用収益を利用する事業目的が明確にあって、その目的を実現することが資産運用なのだから、事業遂行に必要な原資が予測可能なものとして生成されるべきことは、資産運用の基本中の基本なのであって、この基本の徹底が投資技法の高度化をもたらすのである。実際、アメリカでは、高度な資産運用能力を有することで知られている財団が多くあるわけだ。

森本 紀行 HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 HC公式ウェブサイト:fromHC twitter:nmorimoto_HC facebook:森本 紀行

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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