それだけに、ドイツ製長距離巡航ミサイル「タウルス」の供与問題でも同じことがいえるというわけだ。ちなみに、ドイツ製長距離巡航ミサイル「タウルス」の射程距離は米国のそれより長い約500キロだ。米国とは違い、ウクライナにとって欧州大陸のドイツから長距離巡航ミサイルを獲得できれば、運搬も補給作業も米国のそれより容易だ。英国とフランスは既に射程距離250キロのミサイルをウクライナ軍に供与しているが、ドイツの「タウルス」が加われば、モスクワにとって脅威となることはいうまでもない。
ウクライナは現在、2014年にロシア側に併合されたクリミア半島の奪回を最大の目標としている。ウクライナ軍は22日、クリミア半島の軍港都市セバストポリにあるロシア海軍黒海艦隊司令部を攻撃し、大きなダメージを与えたという。ウクライナ軍が米国やドイツから長距離地対地ミサイルを獲得できれば、ロシア軍への攻撃力は数倍強化され、戦局を大きく左右することにもなる。例えば、ロシア本国とクリミア半島を結ぶ「クリミア橋」が完全に破壊されれば、ロシア軍のウクライナ南部への補給は完全に断たたれる。
参考までに、ウクライナとの戦争が始まって以来、約3500人の兵役年齢のロシア人男性がドイツへの亡命を申請している。ドイツ連邦内務省が明らかにしたものだ(独週刊誌「ツァイト」オンライン9月24日)。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年9月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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