そのスケールから保管が難しく、展示期間終了後には解体や廃棄を余儀なくされる大型現代アート。
優れた作品が後世に残らない現状に一石を投ずるべく、大阪市の鋼材加工工場・倉庫跡地を活用した「MASK」で大型現代アート作品の一般公開が行われる。
10月27日(金)から計6日間、「Open Storage 2023 -拡張する収蔵庫-持田敦子 拓く 2019-2023」を開催。持田敦子氏によるプロジェクトの集大成を発表するとともに、国際的に活躍する現代美術作家6名の作品を展示する。
鋼材加工工場を活用した収蔵庫「MASK」
MASKこと「MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA」は、もとは鋼材加工工場・倉庫として使われていた大空間だ。
広さ約1,000㎡、高さ9mの建物をそのまま活用し、事務所跡を改装したホワイトキューブ(展示スペース)と簡易レジデンスを併設。大型作品を無償で保管・展示するスペースとして、2012年よりおおさか創造千島財団が運営している。
2019年度に若手アーティスト支援を目的とした公募を行い、持田敦子氏を迎えてプロジェクトを開始。2021年にはMASKに新たな入口を出現させた作品《拓く》を発表した。
2022年にはその入口と巨大倉庫エリアを接続し、場所・空間の意味や捉え方を変容させる壮大なインスタレーション作品《Steps》を展開。
一連のプロジェクトの集大成となる本年は、《拓く》に続く空間で、《Steps》の彫刻的なフォルムを追求する。素材の持つ強さや美しさ、可能性を引き出す創造的な試みが見どころとなる。
また、関連プログラムとして10月28日(土)、MASK収蔵作家3名による「アーティストとして生きること」をテーマにしたトークイベントを実施。
収蔵作家の金氏徹平氏、やなぎみわ氏、持田敦子氏が登壇し、大規模な作品やプロジェクトを手掛ける3人がそれぞれのキャリアを振り返りながら、アーティストとして生きること、制作活動を続けていくことについて語り合う。
北加賀屋エリアで開催されるアートイベント
この時期、北加賀屋エリアでは多数のアートイベントが開催される。
10月27日(金)~29日(日)、11月3日(金・祝)~5日(日)12:00~18:00には大阪最大のアーティスト・シェアスタジオ「Super Studio Kitakagaya(SSK)」がオープンスタジオを実施。
入居アーティストの河野愛氏は10月19日(木)~11月5日(日)11:30~18:00、千鳥文化ホールで個展「<I>ichibangai」を開催する。
開館5周年を迎えた現代美術家・森村泰昌氏の個人美術館「M@M(モリムラ@ミュージアム)」では10月27日(金)~2024年3月31日(日)の毎週末、記念展が開かれる。
このほかクリエイティブセンター大阪では「KITAKAGAYA FLEA 2023 AUTUMN & ASIA BOOK MARKET」や「すみのえアート・ビート 2023」を開催。
まさに「アートの街」の呼び名がふさわしい盛り上がりを見せる北加賀屋エリア。MASKでの大型現代アート鑑賞と併せて散策したい。
「Open Storage 2023 -拡張する収蔵庫-持田敦子 拓く 2019-2023」
会期:10月27日(金)~29日(日)、11月3日(金・祝)~5日(日)計6日間
時間:12:00~18:00
会場:MASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)
所在地:大阪府大阪市住之江区北加賀屋5-4-48
入場:無料
メインアーティスト:持田敦子
参加作家(50音順):宇治野宗輝、金氏徹平、久保田弘成、名和晃平、やなぎみわ、ヤノベケンジ
ゲストトーク
日時:10月28日(土)13:30~15:30
会場:同上
参加費:無料
定員:50名 ※Peatixにて事前申込制
(SAYA)