中国1部・武漢三鎮は、今月20日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)東地区グループステージ第1節で浦和レッズ相手に2-2と引き分け。中国国内で「前回大会の王者相手に健闘」と武漢の戦いぶりを評価する声が上がる中、元川崎フロンターレ指揮官でもある高畠勉監督の存在がクローズアップ。中国クラブによる「日本人監督招へい待望論」が沸き起こっている。
武漢は10分にMFヤン・シャオビンのゴールで先制。55分にFWブライアン・リンセンに同点ゴールを決められたが、62分にPKから勝ち越し。後半アディショナルタイムにFWホセ・カンテの劇的ゴールで追いつかれたものの、浦和相手にボール支配率28%ながら勝ち点1をつかんだ。
その武漢を率いる高畠監督は、現役時代に川崎の前身である富士通サッカー部でプレー。引退後は川崎の下部組織やトップチームでコーチを務めたほか、2008シーズンには関塚隆氏の監督辞任後にトップチームを指揮。2014年1月に川崎の育成・普及部長を退任すると、年代別の日本代表コーチをへて2016年から中国国内複数クラブの下部組織を指揮。今年6月に武漢の監督に就任している。
チームの立て直しに成功し、浦和戦でも結果を残しただけに、中国メディア『捜狐』は高畠監督の手腕に注目。「武漢にとって、高畠勉監督の存在はアドバンテージのひとつだ。彼のリーダーシップのおかげで、武漢は着実に前進している」と評している。
また同メディアは「中国1部リーグのクラブは、もっと日本人指導者を雇うべきだ。いわゆる欧米のビッグネームを招へいする必要はない。彼らに比べて、日本人指導者はかなり(年俸等が)安くて重宝する」と指摘。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出により反日感情を抱く中国人が多い中、日本人指導者の買い叩きを推奨したのだ。
中国国内クラブはスター選手の獲得のみならず、過去にファビオ・カンナバーロ氏(広州足球、天津天海)やマルチェロ・リッピ(広州足球)など、複数の大物監督を招へいしたことでも注目を浴びていた。
コロナ流行後に大半のクラブが財政問題を抱えたことを踏まえると、高畠監督の功績により「有能な人材を安価で仕入れる」という方向にシフトする可能性も考えられる。