フィアット500_価格:262〜344万円/パンダ_価格:289万円 試乗記

【最新イタリア車試乗】小さいことは素晴らしい!フィアット500とパンダにはイタリア車の魅力が凝縮している
(画像=フィアット500Cツインエア/価格:5SAT 344万円。現行フィアット500は2007年の登場以来、愛らしいキャラクターと高い走りの実力で大ヒット。写真はオープントップのC(カブリオレ)、『CAR and DRIVER』より引用)

イタリアン・コンパクトの魅力とは

私のガレージには今、現行型のパンダクロス4×4と1970年式のヌォーバ500(チンクェチェント)という2台のフィアットが並んで収まっている。パンダは黄色、チンクは金色。何やらとてもおめでたい。

【最新イタリア車試乗】小さいことは素晴らしい!フィアット500とパンダにはイタリア車の魅力が凝縮している
(画像=西川淳さんの愛車、パンダ・クロス4×4(写真)は通常カタログモデルではなく、特別仕様の限定車。4WDシステムと6速MTの組み合わせ。エンジンは2気筒のツインエア搭載、『CAR and DRIVER』より引用)
【最新イタリア車試乗】小さいことは素晴らしい!フィアット500とパンダにはイタリア車の魅力が凝縮している
(画像=ヌォーバ500(チンクチェント)は1957年デビュー。1936年に初代500が登場していた経緯から“ヌォーバ=新しい”と呼ばれた。駆動方式はRR。1977年まで基本設計はそのままで生産された、『CAR and DRIVER』より引用)

パンダを選んだ理由は、デザインが気に入ったこともあったが、小型のSUVでマニュアルトランスミッションがほしかったことが大きい。実はジムニーシエラからの乗り換えだった。

乗ってみて驚いた。これが想像していた以上によくできていて、街乗りから中距離ドライブまでオールマイティにこなす。なかでもシャシーがいい。動きがしなやかで、乗り心地がよく、それでいてドライバーの意志に忠実だ。ツインエア(2気筒)のエンジン音はポロポロポロと頼りないけれど、実用的な性能としては十二分で、街中では決して遅くない。さらに気に入ったのは高速走行時の安定感。背の高い小さなクルマとは思えない走りを見せる。MTが6速まであるのもうれしい。燃費も高速なら20km/リッターに届く。

このあたりの美点はプラットフォームを共有する500(ファイブハンドレット)にも共通する。500が帰ってきたのは2007年、生誕50周年のことだった。いまでも鮮明に覚えているけれど、トリノのポー川で開催されたワールドプレミアには世界中から何千人もの人々が駆けつけ、街をあげてそのデビューを祝った。昔のチンクェチェントを彷彿とさせる愛くるしいデザインはたちまち人々を魅了し、以来、大ロングセラーとなった。

【最新イタリア車試乗】小さいことは素晴らしい!フィアット500とパンダにはイタリア車の魅力が凝縮している
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)
【最新イタリア車試乗】小さいことは素晴らしい!フィアット500とパンダにはイタリア車の魅力が凝縮している
(画像=『CAR and DRIVER』より引用)

駆動方式は昔のRR方式ではなくコンベンショナルなFFとなり、ボディサイズもずいぶんと大きくなった。だが、現代の標準からすればそれでも十分にコンパクトで、イタリアの街や日本の道路環境にもってこいのパーソナルカーである。

イタリアをドライブしていると、クルマに求める3つの重要な条件を思いつく。ひとつはサイズ。古い街並みは道幅が狭く、そのうえ、両脇を路上駐車の列が埋めている。そんな中を場合によっては対向しなければならないのだから、クルマなんてものはできるだけ小さい方がいい。