高い安定性や故障の少なさが愛されたものの、数を減らしつつあるダイレクトドライブ式のレコードプレーヤー。

10月上旬、オーディオブランドDenon(デノン)から、ダイレクトドライブ・レコードプレーヤーの新製品「DP-3000NE」が発売される。同ブランドの歴史と伝統に、現代的なサウンドマスターの感性が融合したプロダクトだ。

デノンの原点、民生用に最適化された「DP-3000」

かつて「デンオン」として知られ、2020年に創立110周年を迎えた「デノン」は、日本初のレコード・蓄音器製造会社、および日本初の業務用録音機器製造会社を起源とするプレミアムオーディオブランドだ。

世界初のデジタルPCMレコーダーを実用化するなど、その革新的な技術力と開発力は国際的に高い評価を得ている。

1970年、デノンは放送局用フォノカートリッジ「DL-103」の市販を開始し、民生オーディオ機器の市場への参入を果たした。続く1971年には初の民生用ダイレクトドライブ・ターンテーブル「DP-5000」を発売。

しかし、このDP-5000は放送局用ターンテーブルの技術・仕様をほぼそのまま流用した製品であったため価格が高く、また性能的にも民生用としてはオーバースペックで使いにくさがあった。

そこで1972年に民生用に最適化し、コストパフォーマンスを高めたターンテーブルとして発売されたのがオリジナルの「DP-3000」だ。

その優れた性能と手が届く価格によって爆発的なヒットを記録し、今日のデノンブランドの礎を築くモデルとなった。

DP-3000の誕生からおよそ半世紀の時を経て、デノンは新たなダイレクトドライブ・レコードプレーヤー「DP-3000NE」を発表した。

物理的な正確性と新たな感性の融合

「DP-3000NE」は、同社の長きにわたる歴史の中で培われてきた技術と設計思想によって、物理的な正確性を徹底的に追求。

同時に現代のサウンドマスターの鋭敏な感性によるサウンドチューニングを随所に施すことにより、デノンならではの正確性、安定性、そして信頼性を兼ね備えた高音質プレミアム・レコードプレーヤーとなった。

その特徴は、たとえば伝統のスタティックバランスS字型トーンアームにアルミ製ヘッドシェル。

デノンこだわりのダイレクトドライブ・サーボモーター、空間ベクトル・パルス幅変調方式による高精度な回転制御で、33-1/3、45、78回転に対応。

また、スイッチモード電源、アルミダイキャスト・プラッター、MDF削り出しキャビネット、調整可能なインシュレーターなどに個性が現れる。

カラーは画像表示の都合上、多少現物と異なることがあるというが、落ち着いたダークエボニー。希望小売価格は385,000円(税込)となっている。

貴重とも言えるダイレクトドライブ・レコードプレーヤー。愛好者垂涎の新商品だ。

ダイレクトドライブ・レコードプレーヤー「DP-3000NE」
発売時期:10月上旬
価格:385,000円(税込)
カラー:ダークエボニー

(SAYA)

※カートリッジは付属しない
※記事中の情報は発表日現在のもので、仕様および外観は改良のため一部変更される場合がある