所属タレントであった故・北公次氏が1988年に出版した著書においてジャニー喜多川氏の性加害行為を告発した際も、文藝春秋との名誉棄損裁判で同氏の性加害行為が公に認定された際も、ジャニーズ事務所に対する忖度からなのか、大手メディアはほとんどこれを黙殺しました。これらの時点で仮に大きく報道されて社会問題化し、喜多川氏が制裁を受けるようなことになっていれば、少なくともそれ以降の被害は防げたはずですが、同事務所所属のタレントを使い続けたメディアやスポンサーの責任はどのように問われるのでしょうか。
権力が暴走し、組織内のチェック機能(議会や取締役会など)が自己保身によって働かず、メディアがそれに対する批判を控えれば、やがて組織は決定的に崩壊し、人々が塗炭の苦しみに陥ることになります。ジャニーズ事務所やビッグモーターの問題は単なる一企業の問題ではなく、日本社会に突き付けられた問題なのだと思っておりますし、われわれ自民党も決してそうならないよう、批判や誹謗中傷にくじけることなく、内部からのさらなる改革の努力を続けていかなければなりません。
日本食糧新聞社の業務用加工食品ヒット賞等の表彰式、ラーメン産業展、肥料商年次大会等、今週は多くの食糧関係の会合に出席致し、スピーチをして参りましたが、改めて食糧安全保障について考える機会となりました。
自給率を計算する際の分母は、国民が餓死することのないカロリー水準におくべきものであって、大量の食品残渣が発生し、贅沢三昧とも言うべき食生活を基にするのでは指標たる意味を失います。そのような「自給率」を政策目標としている限り、食糧安保の議論自体が歪んだものにならざるを得ません。シェルター整備などの国民保護政策を十分に講じ、それを前提としていない防衛政策も類似の構造であるように思われてなりません。まだまだ果たさねばならない責務の膨大さを思うとき、自分の努力不足と残された時間の短さに、焦りが募るばかりです。
来週は9月も後半に入ります。一年の四分の三が過ぎようとしていることに愕然とする思いです。
まだ残暑が続いております。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。
編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2023年9月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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