「ヴェルシス1000」は、いわゆるアドベンチャーにカテゴライズされるオートバイである。2011年モデルまではER-6nやニンジャ650Rと同型の並列2気筒エンジンを搭載していたが、2012年モデルではZ1000をベースとする並列4気筒エンジンに変更された。排気量アップだけでなく、直4エンジンでしか味わえない低中速回転域での扱いやすさやフレキシビリティ、高回転での加速感が両立されている。

ヴェルシス1000の車種プロフィール

「ヴェルシス1000」は、2011年に発表され、 2012年に逆輸入車として日本に導入開始された。2012年モデルは、パワーユニットをZ1000をベースとする並列4気筒エンジンに変更されたことで、パワーとトルクが従来の64馬力/6.2kgf・mから、118馬力/10.4kgf・mへと大幅にアップしている。エンジンは共有しているが、カムシャフトやインジェクションなど、異なるエンジンパーツを使用することで、低回転域から力強いパワーとトルクを発揮する特性が与えられている。

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バイクインプレ

車両の特徴

「ヴェルシス1000」最大の特徴は、アドベンチャーモデル、もしくは大型のデュアルパーパスモデルのデザインエッセンスをうまく取り入れた外観である。燃料タンクを19リットルから21リットルの大容量に変更するなど、航続距離を伸ばしている。手動で高さが可変するウインドスクリーンにより、ウインドプロテクションを実現。さらにABSやリヤキャリアを標準装備とし、快適性を向上させている。

ベースモデルとなったZ1000やNinja1000と比較してみると、それほど 大きな変更が加えられてないことが分かる。フロントフォークはKAYABAの新型の倒立フロントフォークを採用しているが、Z1000と比べると20ミリ延長されて150ミリになっている。リアも同じく150ミリが確保されており、豊かなストロークが与えられた。

足付き

大きさは、全長2,235ミリ×全幅900ミリ×全高1,405ミリ[スクリーン最高時:1,430ミリ]、車体重量239キログラム、シート高845ミリであり、全体的に大柄な印象を受ける。足付きは良いとは言えず、信号待ちなどの立ちごけに注意しなければならない。

エンジンは、水冷4ストロークDOHC 4バルブ並列4気筒で、排気量は1,043cc。ボア&ストローク77.0ミリ×56.0ミリ、最大出力118馬力/9,000回転、最大トルク102N・m(10.4㎏f・m)/7,700回転。チューニングに大きく変更が加えられており、出力特性自体はかなりスムーズさが重視されている。思い切りアクセルを開けたとしても、パワーがスムーズに立ち上がってくる感じがする。エンジンブレーキの効き具合も穏やか。ツーリングシーンでは、まったく不満を感じないエンジンである。

ハンドリングはZ1000 に近いオンロードモデル的な味付けがされており、脚長モデルのようなフロントフォークやフロントホイールが大回りするような感覚は皆無である。Z1000やNinja 1000をベースにした長距離ツアラーだと考えると、とてもまとまりがある。

電子制御も装備されている。ABSは標準装備で、さらにパワーモードが2種類(ローパワー・KTC)搭載され、トラクションコントロールは 4 段階の中から選ぶことができるので、高速走行から多少のラフロードまでオールラウンドに走ることができる。

タイヤサイズは、フロント120/70-17、リア180/55-17で、優れたサスペンションが路面の衝撃を軽減してくれる。ブレーキの効きも十分だが、何よりもABSが装着されていることがライダーに安心をもたらしてくれる。


乗り心地はオンロードモデルそのものという感じで、アドベンチャーモデルのようにダート走行をイメージすると、期待外れかもしれない。しかし、ゆったりとツーリングを楽しみたいと考えてるライダーにとってはぴったりハマるモデルではないだろうか。アドベンチャーモデル的なデザインを与えられてはいるが、その正体は「ロングのスタンスツアラー」。カワサキの直4エンジンを楽しみたいライダーに薦めたい一台だ。