かつてのイギリス料理は美味しかった?

ローストビーフとヨークシャー・プディング 、数少ない評判のいいイギリス料理である。
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余談ですが農業革命以前のイギリス料理は現在のイギリス料理よりもレパートリーが豊かであり、狩猟で手に入れていた鳥獣、野山で採取される果物、菜園で育てられる香草・豆類などが使われていました。

これらの食材は共有地となっていた野山や菜園で採取されて、季節によって供給が変動しました。

果物や香草は猟鳥獣料理のソースに使用され、イギリス料理に地域的な特徴と季節的な変化をもたらしていました。

酒やその加工品、特にりんご酒も消失した食材の中に含まれています。

これらの飲み物は保存性が悪く、輸送には不向きで、地域性と季節性が高かったため、在地の特産品でした。

香辛料類も興味深い要素で、多様な種類が使用されていました。

これらの香辛料は主に南欧やアジアから輸入され、高価な産品でした。

例えば、白胡椒と黒胡椒、ナツメグとメイスなど、微妙な風味の違いが料理に活かされていたのです。

しかし先述したように、これらの食材は農業革命による農村の衰退により、イギリス料理で使われることはなくなりました。

参考文献
小野塚 知二 (Tomoji Onozuka) – イギリス食文化衰退の社会経済史的研究 – 論文 – researchmap