AIサーバー関連の需要に期待
ホンハイが強い需要を見込んでいるのはAIサーバー関連。グラフィックスプロセッサー(GPU)大手の米国・エヌビディア社のAIサーバー「HGX」のチップ基板を受注し、出荷シェアは50%以上となるようです。
また、エヌビディアのAIサーバー「DGX」のチップ基板も受注しており、エヌビディア社のAI主要製品の両方に部品・製品を供給することになっています。
劉董事長は、サーバー全体の売上高に占める生成AIサーバーの割合は現在約20~30%で、上半期(1~6月)の成長率は200%を超え、下半期(7~12月)も業界平均を上回る成長率が期待できると説明。また、今後のサーバー顧客はブランド企業とCSPが半々になると予想しています。
さらに、サーバーの組み立ては競合他社が多く、利益率が低いが、高い技術が求められる部品などの利益率は高いとして、今後もPUEの低い放熱ソリューションなどの開発を強化すると表明しました。
同社は、生成AIサーバーのチップ基板、放熱モジュール、筐体などの重要部品から製品、システムまでをトータルに提供できるのは同社のみで、GPUモジュールと基板の市場シェアは70%以上だと説明。ラックマウント型サーバーのシェアは50%未満だといいます。
電力使用効率。値が低いほど冷却効率が良い
EV提携プロジェクト推進、シャープとも提携か
劉董事長は、10社以上の顧客と電気自動車(EV)分野でのプロジェクト計20件について提携または提携を協議しており、うち2件は生産を開始し、5件は契約を締結する可能性があると説明しました。
EV事業の最新の成果は10月半ばに予定している成果発表イベント「鴻海科技日(鴻海テックデー)」で披露するようです。
また、自動車大手・裕隆集団との合弁会社である鴻華先進科技(フォックストロン・ビークル・テクノロジーズ)が開発したスポーツ用多目的車(SUV)コンセプトカー「モデルC」は、23年第4四半期(10~12月)に量産を開始します。
さらに、ドイツの自動車部品大手であるZFフリードリヒスハーフェンと、乗用車のシャシーの開発で提携することを7月に発表。ZFの子会社で車軸を手がけるZFシャシー・モジュールズの株式の50%を取得するようです。
そして、第1四半期、ホンハイが34%出資するシャープが巨額の減損を計上したことで約173億元の営業外損失を計上し、純利益が前期比68%減少。第4四半期には、EV提携も視野に、シャープと中期経営戦略策定に取りかかるようです。
(文・Higuchi)