質問が多いと会話相手から好かれる
実験の結果、会話相手に対し15分間に4回以下しか質問をしなかった人と比較して、15分間に10回以上の質問をした人は、相手からの好感度が高くなりました。
しかし、多くの質問をすることで会話相手からの印象が良くなるという傾向は、質問をした本人は予測ができていなかったのです。
つまり、多くの質問を行なった参加者は質問のメリットを予測できていなかったのにも関わらず、会話中に多くの質問をするメリットの効果を享受できていたことを意味します。
ただ、この結果はオンライン上のチャットで行われた会話です。実際に、現実の対面会話でもこの効果は生じるのでしょうか?
後続の実験では、現実での対面状況における、会話の質問回数と相手の好感度の関係を検討しました。
実験で使用したのは、過去の研究のスピードデート(短時間内に男女が席を移動し、気に入った相手を見つけるイベント)で行われた会話データでした。
分析では会話の中で質問が占める割合を算出し、スピードデートを経て、相手が2度目のデートに行きたいと思う確率が質問回数によって変化するのかを調べています
結果、会話の中での質問回数が多いほど、相手が2度目のデートに行きたいと思う確率が高くなったのです。
質問回数が多いとなぜ好感度が上がるのかという、これらの結果の原因については述べられなくても想像がついている人も多いでしょう。
質問回数の多さは、興味を持っているシグナルとして相手に受け取られる可能性があります。これに加えて、相手は自分のことを話せる機会も増えるため、結果として会話相手から好印象を持たれるようになるのと考えられます。
フォローアップ質問が特に好感度を高める
好感度をあげる効果が高かった質問は、相手の発言を基に行う「フォーローアップ質問」でした。フォローアップ質問とは、以前の会話や議論に関連する追加の質問のことです。
具体的な例としては、「さっき、沖縄に旅行に行ったと言ってたけど、具体的にどこに行ったの?」や「お仕事の話を聞きましたが、そのキャリアをスタートしたきっかけは何だったんですか?」などが挙げられるでしょう。
フォーローアップ質問が効果的である理由としては、2つあります。
それは①相手を気に欠けており、話を理解しているシグナルになる点と②自分に興味を持ち、さらなる情報を求めているサインになる点です。
会話に関するこれまでの研究は、面識のない、新しい人と会う時に、自分自身をよく話す傾向を報告しています。
特に就職面接などの場面では、応募者は自分の強みを話し、面接者に自身の存在を印象付けようとします。
しかし本結果は、自分自身に関して多くの発言をすることは、自分自身を売り込むための最も効果的な戦略ではない可能性を示唆しています。
研究チームは次のように述べています。
「他人に好印象を与えようとするときに自分自身に焦点を当てる傾向は間違っているかもしれません。なぜなら、会話の話題を自分に向け、自慢など自己に焦点を向けた行動は好感度を下げる傾向があるからです。」
「ほとんどの人は質問メリットを考えておらず、十分な質問をしない傾向があります。しかし質問の利点を知っておくと、相手と良好な関係を築くうえでの手助けになるかもしれない」
会話するときは、自分自身のことばかり話すのではなく、相手の発言に焦点を当て質問し、相手に対し関心を示すことで、良好な関係を構築できるかもしれません。
人から好かれる人というのは、話し上手よりも聞き上手ということなのでしょう。
参考文献
People Will Like You More If You Start Asking Followup Questions
Asking Questions Increases Likability
元論文
It Doesn’t Hurt to Ask: Question-Asking Increases Liking