全国の約150の学校や寮、官公庁などの給食・食堂運営を手掛ける株式会社ホーユーが経営悪化に伴い一部施設で事業を停止し、給食・食事の提供を受けられない施設が続出している。背景には、原材料や電気料金、人件費の値上がりなどを受け給食事業者が学校や行政に値上げを要求しても拒否され、赤字での事業継続を余儀なくされるなど、業界全体に横たわる根深い問題があるようだ。ホーユーの山浦芳樹社長はメディアの取材に対し
「値上げの申請に行くと『わかった値上げしよう』という学校や役所はゼロ」(テレビ新広島の取材に対し)
「広島の落札金額は他の府県と比べると半分以下。全国で一番安い。運営できない金額で平然と落札される」(同)
「(値上げの相談をした高校から)『値上げの根拠を教えてくれ』と言われる。鶏肉の値段を出して、回答が来るのが1~2カ月後」(「テレ朝news」より)
「食材費や人件費は高騰しているが、業界は非常に安い。ビジネスモデルは崩壊している」(同)
などと発言。給食事業者の破綻が相次ぎ発生する懸念も指摘されており、学校や行政、さらには国民全体の意識もカギとなってきそうだ。
1994年創業のホーユーは、北は北海道から南は沖縄まで、保育園や学校、寮、官公庁、病院、さらには自衛隊の駐屯地など幅広い種類の施設で給食・食堂事業を運営していたが、債務超過に陥り、すでに自己破産申請の準備を進めており、全国各地の施設で給食の提供が停止している。
補助金、1食当たりわずか30円
背景には、昨今の原材料・電気料金・人件費の高騰がある。前述のとおり、給食事業者が施設や行政に値上げを要求しても受け入れられず、加えて、新型コロナウイルス感染拡大の影響で給食・食堂が休止となったり、学校でのオンライン授業の導入などで売上が落ちるなどして、事業者の経営が圧迫されているという。
実際にホーユーが値上げの相談をしたある学校では、「物価や光熱費が上がったから給食の現状を維持できない」と伝えても、学校側から「いいからそれ(=現状の契約金額)でやって」と言われたこともあったという(テレビ新広島の報道より)。ちなみに、同社が広島県の補助金の申請を行わなかった理由について山浦社長は「テレ朝news」の取材に対し、
「申請したとしても、1食当たり30円しか高くならないうえに、とても手間がかかる」
と明かしている。