人がある時突然、行方不明になるいわゆる神隠し現象のうち、天狗によって誘拐されたといわれるものは「天狗攫い」と呼ばれている。その中でも特に有名なのは、天狗にさらわれた少年寅吉、通称・天狗小僧寅吉だ。

 江戸時代の国学者で神道家の平田篤胤は、知人から寅吉の存在を知ったことで興味を持ち、少年へ尋ねたその多くの体験談を『仙境異聞』という著書にまとめあげた。

 寅吉は、幼い頃から疫病・災害の予言を的中させていた少年であった。そんな寅吉が7歳の時、上野にある五条天神の黒門前で遊んでいると、商売をしている老人を見かけた。その老人は、商売が終わると持ち物を全て小さな壺に入れ、自らも壺の中に入り飛んで行ったという。少年は老人と接触し、「壺の中に一緒に入れば占いを教える」という言葉に誘われ壺の中に入ると、現在の茨城県南台丈まで一気に連れて行かれた。寅吉は、そこで5年間天狗界に伝わる数々の武芸や術を修行し会得、その後しばらくして江戸に舞い戻ってきたという。

 寅吉の話の中には、「天狗様と空に昇っていくと耳が痛くなった」といった実際に体験しなければ知りえないようなものもあり、他にも現代でいうエアガン、サプリメント、動物型ロボットと思しきものが天狗界に存在していたことを示唆している。また寅吉のこうした体験報告は、宇宙人による人間誘拐の事例とも酷似しており、江戸時代におけるアブダクションケースではないかと解釈する説もある。

 一連の証言は、平田篤胤の喜ぶような内容を調子に合わせて話した可能性も考えられている。ただ一方で、近年には異世界転生ジャンルのライトノベルが流行したことに伴い寅吉の話が注目を集めたという事情をみるに、人々にとって心惹かれる魅力的な話であることは確かなようだ。

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文=にぅま(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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提供元・TOCANA

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