Day3:大物再び
1週間後の7月末日、今度はいつもより少し下流の区間から釣り上がるべく入渓。気の早い個体は、産卵を意識した行動に切り替わる頃でもあり、難易度が上がりそうな雰囲気です。
のっけから15〜25cmクラスが次々とルアーにアタックしてくる高活性。今まで実績があったポイントには魚が入ってはいましたが、やや全体的に小ぶり。同じポイントで釣り上げた2尾の尺上イワナは、陽が当たると黄金色に輝く見事な個体で、すでにかなり満足していました。
そして超大物を目撃したポイントに差し掛かります。右岸にかかったボサの奥にミノーを打ち込み、誘いをかけると茶色の大きな影がゆらめくのが見えました。
目算で50cmは超えている大物で、まだこちらには気がついていない様子。底から食い上げている様子だったので、少しラインを送り込んでレンジを下げて誘いをかけるとミノーがグッと止まりましたが、それは魚ではなく根がかり。
チャートグリーンのミノーが目視できる深さだったので回収は可能、回収に向かいますが、この時点でこのポイントは終了です。その後、上流の別のポイントで40cmクラスを2尾キャッチしてその日はつ抜けを達成して納竿としました。
Day 4:季節の変わり目
8月のお盆前。連日気温は30℃を超える中、このイワナの里川の水温は比較的低めで釣りをしている間は暑さを忘れられるほど。イワナを狙うと同時に涼みに行っている状態です。
そんな状況でも川の季節は少しづつ移り行くようでイワナたちの反応にも変化が現れてきました。小型から中型はまだまだ表層に反応を示してきますが、尺上から大型個体になってくると、産卵を意識してきたのか少し注意深くなってきています。
反応するルアーカラーも、陸生昆虫系のグリーン系からピンクや赤金系といった、秋に強いカラーに変わりつつあります。
キイチゴをつまみながら
いつもの入渓地点から釣り上がるも、得られる反応は小ぶりの個体が目立ちます。そんな中でも40cm級からバイトを得ますが、フッキングするもドラグ調整が緩すぎたのか、一瞬ラインテンションが抜けた時に外れてしまいます。
一旦一息入れるべくお茶を飲みながら脇の木陰で休んでいると、草むらに何やら赤い実が沢山見えました。近づいてみると、そこら中でキイチゴが実っていました。
いくつか摘んで口にすると程よい酸味と抑えられた甘味でなかなか好みの味。そこからはキイチゴを見つけてはつまみ食いしながらの釣り上がりです。
大物は突然現れる
キイチゴをほうばりながらキャストを繰り返すも、大型からの反応はありません。しばらくすると、以前に実績があったポイントに到着。幅およそ4mの堰堤の落ち込みを端から刻むようにしてキャストして様子を見ます。
小さなポイントなので、小型〜中型なら反応した時に魚の姿全体が見えますが、大物の場合は全身が見えることは稀です。ルアーの背後や直下の気配に気を配りながら探りを入れていきます。
4投目のキャスト、ライトグリーンのシンキングミノー5gを流心に通した時にコツンと小突かれるような感触が。次のキャストで同じラインをトレースするとユラッと尺上クラスが反応する姿が見えました。
狙っているサイズではないものの、とりあえずその魚に狙いを定めてしつこく同じラインをトレースしていくこと10投目、流心直下を通過したミノーが突然押さえ込まれます。
すかさずアワセを入れるとそれまで反応を見せていた尺上クラスとは明らかに違う、それどころか40cmクラスを超えるトルクがロッドに乗ります。
ついに超えた50cmの壁
アワセの直後、リールのゴリ巻きで素早くラインを巻き取りしっかりとフックを貫通させます。グオングオンと暴れ回るダッシュで、フルロックにしていたドラグが引き出されたことから、間違いなくここ最近のどのイワナよりも大きな個体と確信。
ランディングネットのマグネットを外して、いつでも掬えるようにしておきます。魚をこちら側に引き寄せてはダッシュで離れられる、を数回繰り返してようやくネットに誘導し勝負あり。
掬い上げた時点で分かる、明らかに今までの40cmクラスより大きなその魚体は、メジャーを当てると51cm。しかもまだ8月初旬にもかかわらず、そのイワナは秋に見られるような婚姻色を纏っていました。
尾鰭の下側端は紅く染まり、側線周辺の斑点も薄い緋色に染まっています。日に当たると黄金のような輝きを魅せる魚体は圧巻でした。