打倒プリウスの燃費より走りの良さが注目された、初代インサイト(1999年)

2年遅れてホンダが初代インサイトを発売した時には、もっとガソリン価格が下がっていたので(東京都でレギュラーリッター97円)、打倒プリウスで7km/Lも低い10・15モード35km/Lなんて低燃費も、大した話題になりません。
むしろ、燃費を良くするための軽量化でアルミモノコックに外板も樹脂とアルミ、空気抵抗低減おため後輪にはカバーを装着、巨大なニッケル水素の走行用バッテリーを収めるため、後席どころか荷室の床すら底上げされて実用性はほぼ皆無の2シーター燃費スペシャル。
しかし、トヨタのTHSと異なり、駆動系に薄型モーターを挟んでモーターアシストするだけのホンダIMAには5速MTを設定可能でしたし、70馬力の1リッター3気筒VTECエンジンは吹け上がりもよく、試乗レビューでは「まるでスポーツカー!」と大歓喜!
いわばモーターアシストつき1リッターエンジンで名車CR-Xが再来した!という勢いで、インサイトじゃなくCR-Xと名付けていれば、相当な人気になったかもしれません。
もっとも、後に本格的な1.5リッタースポーツハイブリッドとしてデビューした「CR-Z」が、よほどうまく回生ブレーキを使わないとすぐに電池切れ、全日本ジムカーナ選手権でも思ったような活躍ができなかったのを見ると、スポーツカーとしても過剰な期待は禁物。
そうなると、2シーターの低燃費パーソナルコミューターとしてはせいぜい通勤に使う程度の実用性がないインサイトは、プリウス以上に「何のためにあるのこのクルマ?」という評価でしたが…。
そのうちプリウスも10・15モード燃費31.0km/Lまで燃費を向上させたあと2代目(2003年)で35.5km/Lの燃費スペシャルを発売、インサイトも同36.0km/Lまで引き上げ、CVT車(32.0km/L)はともかく5速MT車では最後までプリウスで負けませんでした。
しかしその頃でもレギュラーガソリンはリッター110円台程度でしたし、外野からは「不毛な争い」にしか見えなかったのは確かですね。
もっとも、そこから数年でガソリン価格は急騰、2008年8月には東京都でレギュラーがリッター182円に達するので、その頃からようやく、「もはやハイブリッドか、せめてマイルドハイブリッド、でなきゃ燃費のいい軽自動車じゃなきゃダメだ!」となるわけですが。
1990年代後半、まだハイブリッドカーの燃費競争を鼻で笑っていた時代が、今となっては懐かしいですね。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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