目次

  1. サスペンションとは?構造は?
  2. 車のサスペンションの種類
  3. ダブルウィッシュボーン式サスペンション|タイヤグリップを引き出せる
  4. マルチリンク式サスペンション|高い設計自由度が特徴
  5. 車のサスペンションの有名メーカー
  6. サスペンションの寿命と交換時期

サスペンションとは?構造は?

車のサスペンションとは?構造や種類・有名メーカーを紹介!
(画像=©Орлов Александр/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

車のサスペンションはスプリング、ショックアブソーバー、サスペンションアームの3つが組み合わさって機能します。

1輪あたり2点以上の支持部を持つサスペンションアームでタイヤの水平位置が大きくズレないように維持され、車高は車重と4つのスプリングの固さの釣り合いによって決まり、タイヤの上下幅はショックアブソーバーのストローク量が最大値となります。

またこれらの部品配置は、梃子(てこ)の第2種原理に準じて設計され、サスペンションアームが梃子棒に相当し、タイヤの接地面が力点となり、スプリングおよびショックアブソーバーの配置箇所が作用点になります。

3点の位置を調整することで、車の限られたスペースを有効に使いつつ、スプリングとダンパーの衝撃吸収性能を効果的に発揮させているのが車におけるサスペンションの構造的特徴といえるでしょう。

サスペンションには要求性能を満たすいくつかの定形が存在しており、これをサスペンション形式といいます。

スプリング(ばね)とは?

スプリング(ばね)は、車重を支える部品であり、スプリングの固さによって走行中に発生する前後左右の傾き量を決定します。路面の凹凸にあわせて伸縮し、タイヤが路面から離れないように維持しつつ、車と乗員に伝わる衝撃や振動を軽減します。

ショックアブソーバー(ダンパー)とは?

振幅するスプリングの動きを抑えるものです。ショックアブソーバーがなければ、振幅するスプリングによって車は終始揺すられ続けます。また、スプリングが振幅するスピードをコントロールする部品でもあり、コーナリング性能や乗り心地に大きな影響を及ぼします。

サスペンションアームとは?

サスペンションアームは、ボディに対するタイヤの位置を決め、タイヤおよびサスペンションが上下動する際のガイドとなる支持腕です。車体固定部を軸に円運動し、タイヤを上下させます。

車のサスペンションの種類

ストラット式サスペンション|安価でオールマイティ

車のサスペンションとは?構造や種類・有名メーカーを紹介!
(画像=©norikko /stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

ストラット式サスペンションは、1本のサスペンションアームと、スプリングが同軸に配置されたショックアブソーバーでタイヤを支持するシンプルな形式。

安価かつ少ないスペースで設置できるメリットにより、小・中型車の前後サスペンションとして多くの車に採用されています。設計者の「アール・マクファーソン」の名前をとって、「マクファーソン・ストラット」と呼ばれる場合もあります。

ダブルウィッシュボーン式サスペンション|タイヤグリップを引き出せる

車のサスペンションとは?構造や種類・有名メーカーを紹介!
(画像=©chesky/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

上下に配置された、アルファベットの「A」型アームでタイヤを支持するサスペンション型式です。

上下動してもタイヤの傾きが変化しづらいため、タイヤのグリップを有効に使えるメリットがあります。横方向の力は2本のA型アームが受け止めるため、サスペンションの上下動がスムースで乗り心地がよいのも特徴です。

ただし、採用するには長い上下のアームを配置するスペースが必要になるため、スペースに余裕がある大型セダンや、高性能サスペンションが必要なスポーツカーなどの前後サスペンションとして用いられるのが一般的です。

マルチリンク式サスペンション|高い設計自由度が特徴

車のサスペンションとは?構造や種類・有名メーカーを紹介!
(画像=日産 マルチリンク式サスペンション、『MOBY』より 引用)

マルチリンクとは、4本以上の棒状リンクを組み合わせてできたサスペンション型式全般を指します。

マルチリンクの特徴は、ダブルウィッシュボーンの動きを模しながら、より自由度の高い設計ができる点。ダブルウィッシュボーンの上位版として、スポーツカーや高級車に採用される高性能サスペンション形式です。

また、ダブルウィッシュボーン式サスペンション以外の型式に、アームを追加して性能を高めた変則的なサスペンションもマルチリンクと呼ばれる場合があります。

トーションビーム式サスペンション|安価かつ安定性の高いリアサス

トーションビームは、左右一体型のサスペンションアームが特徴です。部品点数が少なく製造コストが抑えられるため、おもに小型FF車のリアサスペンションとして用いられます。

スプリングとショックアブソーバーを個別に配置し、垂直方向の設置スペース低減できるのもメリット。

コーナリング時に横方向から大きな力が加わると、タイヤを含むサスペンション全体が内側を向くことで安定性を確保できる特性が備わっています。

乗り心地ではストラットやダブルウィッシュボーンなどに劣るものの、コストを抑えながら実用上必要な性能を得られる、コストパフォーマンスの高いサスペンション型式です。

リジットアクスル|高い剛性と走破性をほこる

車のサスペンションとは?構造や種類・有名メーカーを紹介!
(画像=©RoClickMag/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

リジットアクスルは、不整地でのトラクション性能に優れています。おもにオフロードカーの前後サスペンションや、小型4WD車のリアサスペンションとして用いられます。

左右輪を繋ぐ鋼管(ホーシング)内部に組み込まれた動力伝達機構がタイヤを駆動。さらに片側のタイヤが持ち上がった際に、反対側のタイヤが地面に押しつけるサスペンションアームとして機能するため、強力なトラクション性能を発揮。

スプリングとショックアブソーバーはホーシングに直接取り付けられ、大きなサスペンション動作域を確保しています。

リジットの3リンク

リジットアクスルのもっともシンプルな構成は「3リンク式・リジットアクスル」。ホーシング上部に配置されたラテラルロッドと呼ばれるアーム1点と、左右前方の支持アーム2点の、合計3本のアームでホーシングを保持します。

リジットの5リンク

高速走行を想定したモデルには、「5リンク式・リジットアクスル」が用いられます。ラテラルロッドと、左右前方を2本ずつのアームで支持し、サスペンション上下動時のホイールベース変化を抑える形式です。

エアサスペンション|独特の乗り心地の高級サス

車のサスペンションとは?構造や種類・有名メーカーを紹介!
(画像=©M. Perfectti/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

エアサスはサスペンション形式を問わず、金属スプリングの代わりに空気バネによって車重を支える構造を指します。

空気が充填されたエアバッグがクッションとして機能するため、低反発のふわふわとした独特な乗り心地の良さが特徴であり、エアバッグ内の空気圧を変化させることで乗り心地や車高を変化させられる点もエアサスの特徴です。

ただし、エアサスを装着するためには圧縮空気を生み出すコンプレッサーを車載する必要があり、構造は非常に複雑であり部品代も高価になります。

エアサスはアフターパーツとして販売されているほか、一部の高級車などには純正装着され、乗り心地の改善はもちろん停車時に車高を下げることで乗降性を高めるのにも一役買います。

車のサスペンションの有名メーカー

サスペンションメーカーは、スプリングメーカーとショックアブソーバーメーカーに分けられます。

また、そのどちらも製造しているメーカーは、アフターパーツだけでなく自動車メーカーに純正部品として供給していることもあります。

とくに日本のKYBやドイツのビルシュタインは、純正・アフターパーツの両方を手がける非常に名の知れた総合サスペンションメーカーです。

スプリングメーカーとして有名なのは、ドイツのアイバッハやアメリカのハイパーコイル、日本の東京発条やRS-Rなど。高性能ショックアブソーバーメーカーとしてよく挙げられるのはスウェーデンのオーリンズを筆頭に、ドイツのザックスやアメリカのモンローなどです。

国内アフターパーツ用サスペンションメーカーとして有名なTEIN(テイン)、Tanabe(タナベ)、CUSUCO(クスコ)やドイツのKW(カーヴェー)などは特定条件下での使用を想定した車高調やサスペンションキットを販売しています。

そのほか、総合アフターパーツメーカーのHKSやBLITZ(ブリッツ)なども自社開発の車高調などを販売しています。

サスペンションの寿命と交換時期

車のサスペンションとは?構造や種類・有名メーカーを紹介!
(画像=©evening_tao/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)

サスペンションの寿命は部品や走行環境によって異なり、ショックアブソーバーが5万km前後、スプリングは約10万kmでの交換が推奨されています。

サスペンションアームは破損や極端な錆の発生がなければ交換の必要はありません。

また、それぞれの部品の取付部に使われるゴムブッシュの寿命は8万km程度です。

スプリングの劣化は車高がわずかに下がる程度の変化ですが、ショックアブソーバーの劣化が進むと明らかに車体の揺れが収まりづらくなり、ゴムブッシュは硬化やひび割れを起こすことで細かな振動が伝わりやすくなります。

サスペンションの劣化は体感しづらく、たとえ劣化しても通常走行にはほぼ支障がないため放置されがちです。

しかし高速走行時のように大きな挙動変化があると、劣化したサスペンションでは設計どおりの性能を発揮できず、瞬間的なタイヤグリップの低下を引き起こすことで車が操作不能に陥る危険性が高まります。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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