清水エスパルス
キーマン:MF乾貴士
圧倒的な戦力で昇格候補の筆頭に挙げられていた清水エスパルス。しかし、現状は3位と自動昇格圏に辿り着けずにいる。シーズン序盤の7戦勝ち無しも響いているが、直近5試合中2連続引き分けも含めて下位勢を相手に勝ち星を取りこぼしていることが勝ち点に大きく影響している。
とはいえ、7月以降は12戦負けがなく、自慢の攻撃力が鳴りを潜める試合でも守備陣には安定感が見られる。残り8試合の中には今季3得点以上を挙げて勝利した対戦カードが4つ残っている。自動昇格圏争いの中では得失点差も重要になってくることから、改めて攻撃陣の爆発が必要になるだろう。そこでキーマンとなるのがMF乾貴士だ。
今季、乾が出場しなかった10試合のうち、複数得点できたのは大勝した第10節のレノファ山口戦のみ。もちろん、出場した試合でも無得点あるいは1点止まりの試合もあるが、複数得点した14試合のうち13試合に乾が出場していることは無視できない数字と言えよう。常に相手にとって危険なエリアを狙い、出し手としても受け手としてもゴールに直結する仕事を果たす乾。その結果、ここまで8ゴール7アシストと多くのゴールに絡んでいる。
もちろん、全ての攻撃が乾1人で完結できるわけではない。前節、累積警告で出場のなかったFWカルリーニョス・ジュニオや6月以降ゴールがないMF中山克広、昨年のJ1得点王であるFWチアゴ・サンタナら強力な攻撃陣が個々に役割を果たせるかが重要だ。彼らをより活かすためにも、やはり経験豊富な乾の存在は必要不可欠。最後まで「超攻撃的」を貫くため、乾が生み出すリズムの重要性は、残りの試合でさらに増していくことだろう。
東京ヴェルディ
キーマン:FW染野唯月
現在4位につける東京ヴェルディだが、1試合未消化の状態でトップを走る町田との勝ち点差は8。残りの試合数を考慮すると優勝を狙うには厳しい差をつけられていると言わざるを得ない。しかし、ここまで25失点はリーグ最少失点。その堅守で最後まで勝ち点を積み上げていければ、優勝の可能性がゼロと言うにはまだ早いことも事実。
だが、上位3クラブと比較して心許ないのが得点力だ。東京Vは今夏、セレッソ大阪よりMF中原輝を期限付きで獲得。MFバスケス・バイロンという主力が町田へ流出した穴埋めはできていると言っていい。しかし、それでもここまでの総得点46は上位3クラブと比較して10得点以上の開きがある。そんな攻撃陣でキーマンとなるのは、昨季に続いて期限付きで加入したFW染野唯月ではないだろうか。
現在チームのトップスコアラーは4ゴールをマークしているDF深澤大輝とMF齋藤功佑だが、染野は加入後10試合で3ゴールをマークしている。もちろん、多くの選手が複数得点できている状態は評価できるが、上位を見れば2桁あるいはそこに迫る稼ぎ頭がいることも事実。
残り8試合のうち、4つの対戦カードで今季得点を挙げられていない東京V。いずれもプレーオフ圏より上を狙うチームだが、ここで勝ちきれるかどうかが順位に与える影響は大きい。もちろん、勝利するには得点が不可欠。染野にはペースアップして得点を重ねてもらいたいものだ。