旧約聖書の神の契約をどのように取り扱うべきかで聖書学者、聖職者は頭を悩ましてきた。バチカンニュースは7日、「ユダヤ教:絶えず続く契約」という見出しで、新しい契約(新約聖書)がある現在、神の選ばれた民(イスラエル人)との神聖な契約(旧約聖書)をいつまで堅持すべきか」という問題を取り扱っている。聖パウロも「ローマ人への手紙」の中で言及しているテーマだったというのだ。
近代教皇の中で最も神学に通じていたベネディクト16世は2018年、このテーマで論文を書き、「神とユダヤ人との契約は絶えず続いている」と述べたヨハネ・パウロ2世の発言を検証し、「神とその民との契約は唯一ではなく、多くの契約が存在した。また、契約の解除についての言葉は、旧約聖書の神学的な概念には含まれていない」と指摘し、「『絶えず続く契約』の公式は、ユダヤ人とキリスト教徒の間の新しい対話の最初の段階では役立ったかもしれないが、長期的には適さない」とその修正の必要を示唆している。
フランシスコ教皇は7日、このテーマについて、神はユダヤ民族との間に3つの契約を結んでいると語り、「『ノアとの契約』は、人類と創造物との関係に焦点が当てられている。『アブラハムとの契約』は、統一と実りの前提条件として神への信仰が強調されている。最後に、『シナイの契約』は、法の授与とイスラエルの選出が、全ての民族のための救いの道具としての役割があった」と説明している。
フランシスコ教皇は「神のユダヤ民族との契約は3つあって、それぞれ異なる重点が置かれている。そして、3つの契約の間を結びつける要素として、「神の賜物と召命の永遠性(ローマ人への手紙第11章29節)」を指摘し、「神は誰かを選んで他を排除するためではなく、常にすべてを包み込むために選ぶ」と述べている。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年9月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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