建設費の償還

鉄道ジャーナリストの梅原淳氏はいう。

「『首都圏新都市鉄道常磐新線』こと、つくばエクスプレスは、秋葉原-つくば間58.3kmのうち、秋葉原駅から40.7km、つくば駅から17.6kmの守谷-みらい平間を境に秋葉原駅側が直流1500V、つくば駅側が交流2万V・50Hzで電化されました。この結果、2020年3月31日現在で同社が保有する240両の電車のうち、交流でも直流でも走行可能な交直流電車は156両、全体の65パーセントを占め、直流だけで走行可能な直流電車は84両・全体35パーセントとなっています。

つくばエクスプレスの運賃が高めなのは交流で電化されているからという意見がありまして、確かに車両の維持費は直流電車と比べて高い傾向にあるといえるでしょう。2019年度のつくばエクスプレスの車両の維持費は21億6662万3000円で、車両1両当たり903万円でした。すべてが直流電車の関東の大手私鉄9社は車両1両当たり553万円ですから、相当高額です。

車両の維持費が高額な理由はわかりません。とはいえ、直流電車にはなく交直流電車に搭載されている変圧器、それから走行中に直流電化区間と交流電化区間とを直通するために必要な各種切換装置の修繕費が高いからかもしれません。

なお、つくばエクスプレスの高額な運賃は、他に大きな理由があります。それは8081億円に上った建設費のうち、6950億円を同社が償還しているからです。2020年3月現在で償還すべき建設費の残高はまだ6130億円あまりあると思われ、運賃を下げることはできません。同様の傾向は新たに開通した鉄道で見られ、つくばエクスプレスと同じ千葉県内に1970年代以降建設された北総鉄道や東葉高速鉄道も運賃が高いことで知られています」

(文=Business Journal編集部、協力=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)

提供元・Business Journal

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