東日本で特に愛される魚「サケ」。採れる時期やタイプによってその価値が大きく変わることをご存知でしょうか。

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大衆魚のイメージが強い『鮭』は採れる時期やタイプで超高級魚に変身する?

サケの初競りが開催

まだ暑さの残る北海道で今月4日、秋を告げる魚「サケ」の初競りが開催されました。

初競りということでご祝儀価格もあり、キロ23,500円という最高値をつけました。これは過去最高値だった前年を10,000円弱上回る高値です。例年より海水温が高い影響により、初日の競り入荷量は前年の半分以下にとどまりましたが、「海水温が下がれば漁獲も期待できる」と関係者は語ります。

大衆魚のイメージが強い『鮭』は採れる時期やタイプで超高級魚に変身する?北海道のサケ漁(提供:PhotoAC)

北海道内の秋のサケ漁は、例年8月末から順次解禁。道立総合研究機構さけます・内水面水産試験場によると、今年のサケ来遊数は3,483万匹ほどと予測されており、これは前年比4%増となります。不漁続きのここ数年の中では、昨年に続いてそれなりの水揚げとなってくれるかもしれません。

普段食べてる「サケ」は秋鮭ではない

関東以西に住む人にとっては、鮮魚を見る機会がほぼ無い魚であるサケ。そのため利用する際には、切り身や加工品を買うことがほとんどでしょう。

大衆魚のイメージが強い『鮭』は採れる時期やタイプで超高級魚に変身する?サケ切り身(提供:PhotoAC)

しかし、人々が「サケ」と思っているものの多くは、我が国の代表的なサケ、いわゆる「秋鮭」ではありません。現在小売店の鮭コーナーで一番目立つのは間違いなく銀鮭で、これは日本には棲息していない「コーホーサーモン」という種類のサケ科の魚なのです。

銀鮭はチリからの輸入が多いですが、成長が早く食味が良いことから、最近は国内での養殖も盛んです。そのため秋以外の時期も生の切り身を買うことができ、よりポピュラーなものとなっています。なお、いわゆる秋鮭は標準和名こそサケですが、銀鮭など他のサケ類との区別から「シロザケ」と呼ばれることも多いです。

高級鮭の「時鮭」「鮭児」

サケは秋になると我が国の沿岸に大量に押し寄せることから秋鮭、アキジャケ、アキアジなどと呼ばれて古くから食用にされ、食卓にかかせない存在となってきました。基本的には安価な魚として、塩焼きやムニエルなど惣菜に用いられるのはご存知のとおりです。

しかし、同じサケという魚であるにも関わらず、高級品として扱われるものがあるのをご存知でしょうか。

そのひとつが「時鮭(ときざけ)」です。これは秋ではなく夏頃に回遊してくる未成熟のサケで「回遊すべき時をわかっていない」ことから時知らずとも呼ばれています。彼らは卵こそ持ってはいませんがその分脂が乗っており、高値で取引されます。

大衆魚のイメージが強い『鮭』は採れる時期やタイプで超高級魚に変身する?時鮭の刺身(提供:PhotoAC)

そしてこれよりさらに高価なのが「鮭児(けいじ)」です。こちらは普通の秋鮭と同様、秋に日本沿岸に回遊してくるものの、未成熟なため産卵に関わることのない個体です。時鮭以上に脂のりが良く、数万匹に一匹という割合でしか見つからないこともあって極めて高価で、一般人が口にすることはとても難しいですが、機会があればぜひ食べてみたいものです。

この他にも新巻鮭や山漬けなど、サケは様々な形で売られます。料理や好みに合わせて使い分けることができるのが、サケという食材の最大の魅力と言えるでしょう。

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<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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