SNSの普及により、何百万人もの人々が互いに繋がり、自分自身の生活を共有しています。

このように、SNSは社会的な結びつきを築く場として役立っています。

しかし、SNSの過剰な使用は、肥満、うつ病、摂食障害などの精神的・身体的な健康問題のリスクを高める可能性があります。

近年の研究では、SNS上での行動の中でも「自撮り写真の加工」が注目されています。

ドイツのルール大学のフィリップ・オジメック氏(Phillip Ozimek)らの研究チームによれば、自撮り写真を加工する人ほど、自己を「モノ」として認識し、外見に基づく他者との比較を気にしすぎる傾向を強めると報告されています。

また、これらの「物」としての自己認識と他者との外見比較をする傾向は、自尊心の低下を引き起こしている可能性が示唆されました。

研究の詳細は、学術誌「BMC Psychology」にて2023年4月6日に掲載されています。

自撮りの加工は精神的健康に悪影響か

自撮りの加工はメンタルに悪いのか
Credit: Unsplush

SNSの過度な使用は、うつ病や不安症、摂食障害などの精神的・身体的な健康問題を引き起こす可能性が指摘されています。

近年、研究者たちはSNS内の行動に関して、特に投稿前の自撮り写真の加工に注目しています。

InstagramやTikTokなどのSNSプラットフォームでは、写真や動画を作成する際に加工が一般的に行われ、その状態が初期設定になっているほどです。

過去の研究では、自撮り写真の加工は自己を人間ではなく「モノ」として認識する傾向を助長すること、また自尊心を低くする可能性があることが分かっていました。

しかし「モノ」としての自己認識と自尊心の関係性がどうなっているのか、自撮り写真の加工頻度と自尊心の間にどのような関係が成り立つかは詳しく調査されていませんでした。

そこで、ドイツのルール大学のフィリップ氏らの研究チームは、自撮り写真の加工頻度と自己認識、自己評価の魅力度、自尊心の関係性を調査しています。

調査に参加したのは、オンラインで募集した若者の男女403名です。参加者は、SNSの使用頻度や外見比較のしやすさ、自尊心に関する質問紙に回答しました。

自撮り写真の加工頻度に関しては、SNSに写真を投稿する前に写真を編集する頻度を尋ねました。また、自分を「モノ」として認識する傾向に関しては、自分の身体をどの程度気にかけているのかを報告してもらっています。

さて、SNSでの投稿前の自撮り写真の加工頻度は、自己認識や他者との見た目の比較、自尊心とどのような関係性があるのでしょうか。