美術品や車は本当に会社の資産なのか?
もうひとつのポイントが、こうした美術品や嗜好品を「資産」と言い切っているかどうかです。
前述のとおり、役員報酬で買うのは結構。でも、このようなアイテムを会社のお金で買うとなるとまた話は変わってきます。建前としては、そもそも会社のお金ですから、本来個人的な用途に使うべきではありません。
しかし、実際会社というのは経営者と密接不可分で、公私混同なんて当たり前。だから、これらを止める術は社員にはないわけですが、「これは資産として売却することもできるから」っていう理由には、ちょっと注意が必要です。
なぜなら、美術品にせよ時計にせよ、市場価値があるかどうかなんて、売るときにしかわからないからです。
いまは300万円の価格がついている時計も、将来的には半分になるかもしれない。新品未使用ならともかく、見栄っ張りの経営者は必ず時計ならその時計を身に付けて使います。見せびらかしたいから。だから、価値が残るかどうかわからないわけです。
特に絵画などの美術品って、買うのは簡単なんですけど、売るのって難しいんです。贋作かどうかの鑑定もあるし、そもそも買い手が見つかるかどうかもわからない。
いざというときに、売れないものや価値のないものをいま「資産」と言って私的に購入する経営者……ちょっと怖いですよね。
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横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 WORKtheMAGICON行政書士法人代表 特定行政書士 1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。 会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年9月4日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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