ブラックバス釣りの不朽の名作ルアー『ラトリンログ』と、日本製ビッグベイトの草分け的存在『ジョインテッドクロー』を比較しました。2大共通点は「寄せる」&「食わせる」能力。比較から見えてきた魚が捕食を行うメカニズムとは?
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター小塩勝海)
バス釣りルアー『ラトリンログ』
ラトリンログは現在日本では少しマニアックなルアーだと思われがちなものになっているがアメリカのトーナメンター達にとって長い間ルアーの基本として重宝されてきた。
そんなログの歴史を簡単に紹介しますと、1950年代にスミス・ウィック社からAB1200ログとして発売されました。当時のアメリカのルアーメーカーは打倒ラパラ・オリジナルフローティングを掲げて様々なミノープラグを開発していました。レーベルミノーやバングオー、中でも名作ロングAもその流れから開発され、まさにジャークベイト・ミノープラグの開発戦争時代と表現できる時代背景でした。
そんな中に名乗りを上げたスミス・ウィック社はプラスチック製のミノープラグのプロトタイプを作成し開発を発展させる予定でしたが、想定外にもプロトタイプのミノーが想像以上によく釣れるためにそのまま商品化してしまいました。それがAB1200オリジナルログでした。そこから時が進み1970年代にラトルが追加され現在のラトリンログとなりました。
ラトリンログの特徴
ラトリングログの特徴について紹介しましょう。
リップ
リップの素材は指先で簡単にしなってしまうほどに柔らかく出来ているためにリップに水が当たると大きく変形します。当然アクション中にリップが変形すればルアーの挙動が変化するので大きな変化点になります。
アメリカンルアーの第一人者であるヒロ内藤さんによると、プラドコ社に在籍中にリップの素材や硬さにこだわって年式ごとに何度かリップが変更されているとのことで、年代ごとにわずかにジャーキングの挙動は変化するそうです。
差し込み型リップ
ラパラのオリジナルフローティングをと同様にリップは後付けの差し込み型になっています。ログの動き姿勢は平行に近いためリップの角度が突き出る形になり、大きく水を押込みながら切れ込みます。
ログを実際にジャーキングしようと思うとかなりの力でロッドを振る必要がありロッドパワーもラインの強度も強めにしなければ首を振ってくれない程ですので大きく水を動かしながら水中で動き、短距離で急停止するような動きが出て水の動きやルアーの動きに激しいオンとオフの間合いが出来てトリッキーなジャーキングを出しながらサイズ感以上に魚に存在をアピール出来ます。
ボディー
高い浮力を持たせるだけではなく、ラトルの干渉音をより響かせるためにラトルのサイズは小さく控えめな量になっています。
浮力を出すことでジャーキングをした際にルアーが切れ込んだ直後に高浮力から発生する強烈な復元力によって姿勢が平行に戻りリップが水に突き立つので急停止するような動きが発生して短い距離で何度もジャーキングができます。
鱗模様
ログの特徴の一つである鱗模様ですが、元々金型のコストを抑えるためにつけた鱗の簡易版というのは有名な話ですが、この模様はゴルフボールのディンプルのように凹凸の間で細かい渦が発生して大きく挙動に影響しています。ゴルフボールのディンプルは飛距離を伸ばすために空気抵抗を受け流す効果と揚力を得てボールを浮かび上がらせる効果があります。
これと同じ様に、引っ張っている間は水を受け流しキレのある動きを出して、動きが止まってラインスラッグが出た直後に浮力や惰性に加えて鱗模様が生んだ渦によってルアーが停止と同時に横から突き上げられる様なロールを出します。
総評
ラトリンログの性能を総評すると水押が強く魚の側線を強く刺激することが出来るルアーであることが言えます。魚は音ではなく振動で獲物を探すので水を大きく動かすことが出来るルアーは魚を引き付ける能力が高いと言えます。魚を引き付けてイレギュラーなアクションで魚の興味を引いてバイトさせるだけの性能はあると感じました。