男らしく活動的な高級クロノグラフとして名高いBREGUET(ブレゲ)の 「タイプ XX」。人気の秘密は由緒正しい軍用としての歴史&実績を踏まえつつ確実な成長を遂げているから。だからこそ腕に着けたとき重厚な説得力が感じられるのです。そして今季、その第四世代が新たに登場。スタイリッシュに攻めるかクラシックに走るのか、時計選びの幅を試されるモデルです。オフスタイルに非日常のロマンを添えてくれる魅惑の2モデルをピックアップ。

ひとつの頂点を築いた1950~60年代の傑作にオマージュを込めて

自動巻きやトゥールビヨンなど、機械式時計における重要なメカニズムをいくつも発明したアブラアン・ルイ‐ブレゲ(1747-1823年)。そんな天才時計師をオリジンに持つブランドは、今もって世界屈指の名門です。なかでも「クラシック」や「トラディション」は、スイス時計の歴史をギュッと凝縮し発展させた渾身のドレスウォッチとして大人気。近年ではスポーティな「マリーン」もバリエーションを増やし多いに支持を伸ばしています。どこか貴族的なイメージのあるブレゲのラインナップですが、リッチなオジサンにおすすめしたいのは、アクティブな印象も漂う「タイプ XX」。シャンパンの匂いというよりは、ワイルドなコーヒーの香りが似合う(?)ガッツリ軍用の背景を持つラギッド・クロノグラフです。

非日常でこそ輝く本格パイロットモデル、BREGUET(ブレゲ)「タイプ XX」
(画像=『J PRIME』より引用)

そもそも「タイプ XX」の源流は航空機時代が始まる1930年代にあり。当時、正確な航路測定には高精度のクロノグラフが必須アイテムでした。なかでも俊敏な連続測定を実現させるため、ブレゲでは早くからフライバック機能付きのクロノグラフを開発していたのです。そしてフランス空軍が、特有のスペックを備えた時計を求めているという情報を得て製作した時計こそ、1950年代初出の「タイプ XX」。その軍用スペックとは、夜光の数字と針を配した黒文字盤。そして気圧や加速度の変化に耐える安定性に加え、回転ベゼルとフライバック機能付きのクロノグラフという内容。同じく情報を得た数社とのコンペを見事勝ち抜き、ついに「タイプ XX」が世に誕生することとなったのです。

非日常でこそ輝く本格パイロットモデル、BREGUET(ブレゲ)「タイプ XX」
(画像=『J PRIME』より引用)

ただしブレゲではこの優れたフライバッククロノグラフを民間で働くパイロットや熱烈なブレゲファンにもリリースするため、軍用モデルを「タイプ 20」、民間用モデルを「タイプ XX」と分けて展開。ブレゲ肝いりの高い信頼性を誇るパイロット用クロノグラフは、デビュー当時から広く支持を得ており、フランス空軍をはじめ飛行試験センター(CEV)、海軍航空隊、後年にはモロッコ王国空軍やアエロスパシアル社での制式採用に加え、自動車レースで有名なモンテカルロラリーの優勝賞品にもなったと言います。

非日常でこそ輝く本格パイロットモデル、BREGUET(ブレゲ)「タイプ XX」
(画像=『J PRIME』より引用)
非日常でこそ輝く本格パイロットモデル、BREGUET(ブレゲ)「タイプ XX」
(画像=『J PRIME』より引用)

そして今季、満を持して第四世代となる新たな「タイプ XX」が華々しくデビュー。そのファーストコレクションは1955年から1959年にかけてフランス空軍に1100本納入されたモデルに発想を得た「タイプ 20 2057 ミリタリーバージョン」と、1950年代と1960年代に製造されていた最高級民間モデルの後継機となる「タイプ XX 2067 民間バージョン」の2モデル。ポイントのひとつがゼロベースから作られた新造ムーブメントにあります。先進的なcal.728は4年の歳月を掛けて製作されており、コラムホイールと垂直クラッチ、36000振動/時の高振動、革新的なゼロリセット機構など、複数の特許で保護された完全新型であることが特徴的。

そして何よりミッドセンチュリーな味わいをしっかり残した精悍なパイロットウォッチとして完成しているところも最大の魅力です。ゆえにちょっとレザージャケットを羽織ってスポーツカーを走らせたいとき。もしくはショートブルゾンを着込んで郊外に足を伸ばしたいシーンなど。このハイクオリティクロノグラフがあれば、男らしくも品の良い着こなしが作りだせるのです。それはやっぱりあの名門ブレゲが作るハイエンドモデルだから。ラギッドでワイルドな装いもどこか貴族の遊びスタイルのように小粋に仕上るのです。しかも新たな第四世代モデルは防水性も耐磁性もパワーリザーブもフル充実のハイスペック。気兼ねなくワガママに付き合えるところも実にパーフェクトなのです。

非日常でこそ輝く本格パイロットモデル、BREGUET(ブレゲ)「タイプ XX」
(画像=『J PRIME』より引用)

左/1960年に海軍に納入された「タイプ XX」No.2499。15分の積算計サークルが拡大され、ダイヤルにブランド名があしらわれるなど空軍用モデルとは異なる仕様。 中/1952年にプロトタイプが提出され1953年に航空技術局から承認されることとなったタイプ XX。写真は1954年にフランス空軍からの発注により1955年から1959年に掛けて納入された「タイプ 20」No.7211。 右/1965年に径14リーニュのヴァルジュー製ムーブメントが現代的な13リーニュのものに置き変わり、ダイヤルや針、ベゼルなどに若干のバリエーションがあるものの、写真の「No.21326」のように1970年代までデザインは当時のスタイルをキープ。

現代モノ「タイプ XX 2067」 民間バージョン