同一企業グループ内の福利厚生制度や働く環境に格差のあることは、企業グループの結合に合理性があるのなら、グループの一体感の醸成を妨げ、逆に不公平感を醸成するものとして不合理であり、公正さを欠く場合すらあるのであろうし。不合理でないのなら、企業グループの結合のほうが合理性を欠くのではないかとの疑念を生じさせる。

また、企業年金のように税制優遇措置の講じられている制度については、その裏で一定の社会公共性を前提にしているはずだから、合理性を欠く差別は、不当なものとして、規制されるべき余地があるとも考えられる。

さすがに日本の企業の現状としても、給与や賞与については、経営者の理解が進み、公正で合理的なものへの移行が徐々に行われつつあるのだろうが、福利厚生制度や働く環境、特に企業年金については、経営者の理解も政策の取り組みも十分ではないと思われる。

森本 紀行 HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 HC公式ウェブサイト:fromHC twitter:nmorimoto_HC facebook:森本 紀行

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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