スマホなど視聴可能な環境にある人からも受信料徴収、議論が加速

 稲葉会長は前出・読売記事のインタビューのなかで、NHKのネット事業について「放送と同様の公共的な役割を果たしていくことが大切」として「必須業務」への格上げに前向きな姿勢をみせているが、これはNHKがテレビ非保有者からも広く受信料を徴収しようとする動きと一致する。NHKは2017年に公表したNHK受信料制度等検討委員会の答申案で、スマホやインターネットの利用者からも受信料を徴収する検討を始めており、過去の有識者会議でもテレビを持っていなくてもスマホなどで積極的に放送を見る人については「負担を議論していく必要がある」との意見が出ていた。

 さらに今年4月に総務省が開催した有識者会議、公共放送ワーキンググループ(WG)の会合(第7回)では、NHKの財源として、サブスクリプション収入、広告収入、税収入も提示されたが、公共性などへの懸念が指摘され、スマホなど視聴可能な環境にある人からの受信料収入とする考えで一致したという。同WGのこれまでの議論では、スマホでの視聴を無料にする案や、専用アプリの利用者から受信料を徴収する案などが検討されている。

 民放テレビ局関係者はいう。

「要はNHKとしては、ネット事業を『必須業務』に格上げさせることで、スマホやPCなどネットを見られる環境を持っていれば受信料を払わなければならないという流れをつくりたい。今後、NHKがネット配信に力を入れていくのは規定路線だが、民放各局が限られた予算のなかで採算性を見極めながら手探りでネット配信事業を進めるなか、受信料収入をバックに多額の資金を投入してネット配信を本格展開すれば、民放テレビ業界全体が打撃を受けることになる」

 NHK受信料のあり方、そして将来に向けたNHKの事業計画が適切かどうか、今、改めて問われている。

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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