情報通信業のジャストシステム <4686> が20歳以上の既婚男女を対象にインターネット上で行なった「住まいのリフォーム・リノベーションに関する調査」によると、持ち家を希望する男性の内、約20%が中古物件を希望しているという。リフォームやリノベーションへの認知が進み、中古住宅への抵抗感が弱まっている状況が浮かぶ。
中古住宅市場は拡大を続ける
公益財団法人東日本不動産流通機構の調査では、2016年の首都圏中古マンション成約件数は3万7,189戸で前年比6.9%増となった。2013年の3万6,432戸を上回り、過去最高の数字となる。株式会社不動産経済研究所が発表している同年の首都圏新築マンション販売戸数は3万5,772戸(前年比-11.6%)であり、中古マンションが新築マンションを上回った。
中古住宅市場の好調は複数の要因に支えられている。まずは新築との価格差である。一般的に中古住宅はリノベーション費用を含めても、新築より1~2割程安いと言われる。株式会社不動産経済研究所の発表によると、首都圏新築マンション価格は2016年で5,490万円となり、5年前の2011年と比べ、約20%も上昇している。新築マンションの高騰により、価格の安い中古マンションの需要が高まっている。
また、国土交通省が中古住宅市場の活性化の方針を掲げている事も要因の一つである。中宅の評価見直し等、中古住宅市場の整備を行っている。また、その方針に呼応するように金融機関も中古住宅への住宅ローンに力を入れ始めた。リノベーション費用も含めた住宅ローン商品の投入である。消費者が中古住宅を購入する際の障壁が撤廃されつつある。
足下では価格上昇によるピークアウト懸念も
拡大基調の中古住宅市場であるが、足下では不安要素も指摘されている。まずは、中古住宅価格の上昇である。公益財団法人東日本不動産流通機構の調査では、2016年の首都圏中古マンション成約物件価格は3,049万円(前年比+5.4%)と1994年以来22年ぶりの3,000万円台となった。価格上昇が続けば、購入を断念する層が出てくる他、販売戸数が減少している新築との価格差が縮まり、価格面の魅力が薄れてしまう。
また、同財団が2017年3月10日に発表した2017年2月単月の中古マンション成約件数は前年同月比-2.2%の3,461件と6ヵ月ぶりの減少となった。成約価格は上昇を続ける一方、成約件数は昨年から前年同月比でマイナスとなる月が目立つようになっており、ピークアウトを指摘する声もある。
市場規模の急拡大により、一旦ピークアウトする可能性は否定できないが、中古住宅市場は長期的に見ると有望市場である。日本の全住宅流通に占める中古住宅のシェアは約15%程度であり、8~9割近くとされる欧米諸国と比較すると約6分の1程度しかない。市場拡大の余地は大いにあると言える。中古住宅市場はピークアウト懸念を乗り越え、持続的な成長が出来るのかという点に注目が集まる。
文・MONEY TIMES 編集部
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