ラッセル・クロウ主演で実在したエクソシストを描く映画『ヴァチカンのエクソシスト』は日本でも人気の作品となった。実在する現役エクソシストH氏に宗教・オカルトの専門家が突撃インタビュー!

――悪魔憑きの症例とは?

H氏:カトリック教会であれ、プロテスタント諸派であれ、または正教会であれ、キリスト教においては、悪魔憑きか、ただの病気なのかは常に最初に判断されます。いまや有名になりましたが、一般に今まで「狐憑き」なり「悪魔憑き」と呼ばれてきた症状は特定されています。抗NMDA受容体脳炎です。私は医者ではありませんから詳細は省きますが、免疫システムの異常で、このNMDA受容体に向かう自己抗体が生産されることによる脳内の炎症です。これが未成年女性や子どもにおいて発症例が多いことがゼロ年代に報告されました。

 また、この脳炎と卵巣奇形腫の関係も指摘されています。つまり性ホルモンの分泌異常によって、とくに若い女性が神がかりや狐憑きのような症状を発する事例が確認されています。

 当然、教会は、この事実を知っていますから悪魔憑きか否かを判断する前に、基本的な医学的検査はすべて行います。これら現在確認されている病名に当てはまらず、かつ、本人が知り得ない情報や外国語を発するなどの不可思議な現象を伴ってからが、エクソシストの出番です。それまでは医者やカウンセラー、病院の領域であって、教会の出番ではないんです。逆にいえば、教会とエクソシストは最後の砦です。

――つまり本物としか言えない事例があると?

H氏:そういった事例の場合、結構な確率で人命の危機を伴います。たとえば、これはエクソシストのあいだでは有名な話ですが、日中戦争中の事例です。中国でイギリス人牧師が遭遇した悪魔は、結局、建物を自然発火させた上、憑いた人物ごと全焼して灰になったそうです。牧師はかろうじて燃える家屋から逃げ出した、と。もちろん戦争中ですから、その地域は遠からず焼け跡になったのでしょう。詳細は分かりませんが、このようなエクソシストの日記や記録、祈りは比較的簡単に入手できますし、今でも読むことができます。悪魔に魅入られるということは、文字通り命の危険を伴うのです。

――映画『ヴァチカンのエクソシスト』は、ほぼ実話だと?

H氏:実話です。多少の脚色はありますが。映画を観て、私が何よりも怖かったのはエンドロールが流れていく中、画面めいっぱいに赤い目のヤギの顔が映ったことです。おそらく他のひとには見えていないでしょうから、私の気のせいかもしれません。しかし悪魔から私へのメッセージでした。「いつでもお前を見ているぞ」と。戦慄しましたよ。

――聖書に「悪魔は吼え猛る獅子のごとき」とありますが……?

H氏:空腹のライオンの目の前にノコノコ出ていく人はあまりいないと思います。つまり、悪魔とキリスト教が名指した存在は、本来、現地・土着の神仏であり、高貴な存在でもあります。人間よりは圧倒的に強く気高い存在です。そんな存在の前に何の訓練も受けていない人間が立つとどうなるか。空腹のライオンの前に餌が歩いてくるわけですよ。結果は火を見るより明らかです。

 これは警告です。皆さん、絶対にエクソシストや悪魔憑きと関わろうと思わないでください。こんなことを知らず、忘れて生きるのが人間の幸いなのですから。実際に人死にが出ます。それは別の誰かではなく、あなた自身になる可能性が高いのです。

文=神ノ國ヲ

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提供元・TOCANA

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