研究者らは調査のために、主に米国、英国、ポーランドからの15万8000人以上が参加した170件の研究のデータを分析した。主に、陰謀論信者の性格と動機を調べていった。その結果、特定の性格特性が人々を陰謀論に陥りやすくしていることを発見した。陰謀説を信じやすい人は、不安、偏執的、引きこもり、操作的、自己中心的な傾向があるという。逆に、オープンで良心的で自分の感情をコントロールできる人は、陰謀論的思考の傾向が低いという。

参考までに、フェイクニュースを信じやすいタイプとして、独ヴュルツブルク大学の心理学者ヤン・フィリップ・ルドロフ氏はダークパーソナリティトライアドを挙げ、ナルシシズム、マキャベリズム、精神病質の3つパーソナリティ特性を指摘している。ナルシストは優越感を感じ、注目の的になることを好み、マキャベリの人は権力と地位を求める。一方、サイコパシーの特性は、衝動的で恐れ知らずの行動が特徴だ。これらの特徴には共通の核があって、ダークファクターの性格が強い人は、他人のことを気にせず、自分の利益だけを考えている」と述べている(同上2022年11月19日のDunkle Personlichkeitstriade”から)

「不安」はもちろん、ネガティブだけではない。「不安」を感じることでそれを解決するためにさまざな努力を繰り返すことで新たな可能性を見出すことが出来る場合もあるだろう。ただ、それを見出すまでは忍耐と時間がかかるから、どうしても現在の不安を取り除くためにインスタントな解決策、陰謀説に走る人々が出てくるわけだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年8月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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