AI・データ分析コンペティション、DX人材育成を手掛けるSIGNATEが、「ChatGPT」が日本経済に与えるインパクトを試算した検討結果を発表した。ChatGPTに代表されるLLM(大規模言語モデル)が職業や経済に与える影響については、すでにさまざまな研究やレポートで報告されているが、それらは欧米のデータに基づくマクロな影響に関するものがほとんど。今回の発表は、ChatGPTが日本の労働市場および経済にフォーカスしたものとして、とくに注目されているが、はたしてその内容とは……。

ChatGPT活用で、全業種のうち約半分は「15~20%の業務効率化」につながる可能性

「ChatGPT活用」が日本経済に与えるインパクトは年間で最大40兆円相当の労働価値【SIGNATE調べ】
(画像=業務効率化が課題の企業は多い。これを機にChatGPTの活用が加速するかもしれない(「株式会社SIGNATE」調べ)、『オトナライフ』より引用)

試算は、ChatGPTを進化に応じた「alpha」「beta」「zeta」の3タイプに分けて行われた。テキストのみを扱う現状のChatGPTがalpha。alphaになかった機能を実装し、その機能の評価を半分としたものがbeta。betaと同じ機能で、追加された機能の評価を等価としたものがzetaである。

ChatGPTが日本経済に与える影響度のポテンシャルを試算した結果を表したのが、上のグラフである。たとえば、業務の10%にChatGPTを活用できる職業は、全職業のうち60~70%に及ぶということになる。また、たとえばzetaであれば約20%を超える職業が、業務の50~55%に活用できる、ということが示唆されたことになる。

さらに、ChatGPT活用がもたらす業務効率化の価値を、現在の日本の労働市場における給与実績をもとに試算した結果も報告された。それによれば、alphaを活用した場合で年間約25兆円、betaの場合で約32兆円、zetaにいたっては約40兆円相当もの労働価値を生む、との試算になった。

業務効率化の恩恵を受けるのは「事務従事者」「専門的・技術的職業従事者」

「ChatGPT活用」が日本経済に与えるインパクトは年間で最大40兆円相当の労働価値【SIGNATE調べ】
(画像=LLMがもたらす経済的なインパクトは極めて巨大だ、『オトナライフ』より引用)

業務効率化の影響を、とくに受ける職業分類は「事務従事者」が1位、「専門的・技術的職業従事者」が2位という結果に。

1位の事務従事者の場合、alphaを活用した場合でも34%、zetaを活用した場合、54%もの業務効率化につながる可能性が予測された。事務従事者、専門的・技術的従事者のいずれも、コンピュータを用いたデスクワークでテキストを扱うことが多い職業であり、同時に就業者数・給与総額においても全職業分類の上位を占めていることから、ChatGPTが大きな経済インパクトをもたらす可能性は極めて大きいと考えられる。

もちろん、この効果を最大限享受するためには、全職業従事者がその特性を正しく理解し、具体的な職業・業務タスクレベルにおける、LLMの活用ノウハウを蓄積・普及させることが不可欠となる。とくに労働人口の減少が危機的状況を迎えつつある日本においては、多様なAI技術の活用による生産性向上が必須だ。

そのためにも、まずは人材育成や計算資源・データ整備などへの投資・活動を通じて、AI技術をより積極的に活用していく社会風土の形成実現が必要となるだろう。

出典元:【株式会社SIGNATE/PR TIMES】
参照元:【「さいとうしげる」note】

※サムネイル画像(Image:photosince / Shutterstock.com)

文・オトナライフ/提供元・オトナライフ

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