気象兵器や地震兵器など、自然災害を装って敵地を攻撃する兵器は存在するのか。ハワイ・マウイ島の山火事が政府や権力者によって意図的に引き起こされたとの“陰謀論”が渦巻いているようだ。

SNSを中心にマウイ島の山火事はレーザー兵器によるものだという陰謀論が広まっているが、ジャーナリズム監視団体などによると、レーザー兵器説の証拠として流布している画像は過去の無関係な画像であることが明らかになっている。人々が山火事は意図的に始められたと疑う背景には、マウイ島全体をオール電化の“スマートアイランド”にする構想があったからだ。権力者らが市街地を更地にしようと企んだと陰謀論者は考えているようだ。

詳しくは以下の記事をご覧いただきたい。

ネット上で出回るマウイ島“レーザー直撃”画像

ハワイ史上最悪の自然災害といわれている今回のマウイ島での大規模な山火事は現地に深刻な被害をもたらし、今後もまだ予断を許さない。

当局は今回の致命的な山火事の原因を今のところはまだ特定していないようだが、昨今この一帯はきわめて乾燥した状態にあり、乾いた強風が山火事の拡大を増長させる条件を生み出したといわれている。

「マウイ島の山火事はレーザー兵器によるもの」 SNSに無関係な画像が流布、トンデモ陰謀論の背景にある1つの真実
(画像=『TOCANA』より 引用)

画像は「YouTube」より

また倒れた電柱の送電線に電気が流れたまま放置されていたことが火災の原因となったとして、地元住民によって電力会社に対する訴訟が起こされている。

火災の発生をめぐりさまざまな究明が行われているが、ネット上の一部の“陰謀論”者からはマウイ島の山火事は宇宙から撃ち込まれたレーザー兵器によって引き起こされたという言説が展開されている。今回の山火事は政府によって意図的かつ計画的に実施されたものであるというのだ。

英タブロイド紙「Daily Mail」の記事ではマウイ島の火災に対するこうした“陰謀論”はまったく根拠のないでっちあげであることが指摘されている。

たとえばX(旧ツイッター)に投稿されたある画像は宇宙から発射されたレーザーによってマウイ島で爆発が起きたと説明されているのだが、この写真は2018年にオハイオマラソン石油化学工場で行われた規模の大きいフレアスタック(逃がしたガスを燃やす措置)を撮影したものであるこという。

「マウイ島の山火事はレーザー兵器によるもの」 SNSに無関係な画像が流布、トンデモ陰謀論の背景にある1つの真実
(画像=『TOCANA』より 引用)

「Daily Mail」の記事より

またインスタグラムやXに投稿されているもう1つの“レーザー直撃”画像は、2018年の「SpaceX」打ち上げの瞬間を撮影したもので、同社のインスタグラムページからそのまま引用されたものであるということだ。

「マウイ島の山火事はレーザー兵器によるもの」 SNSに無関係な画像が流布、トンデモ陰謀論の背景にある1つの真実
(画像=『TOCANA』より 引用)

「Daily Mail」の記事より

これらの画像は、政府がハワイ先住民をマウイ島から追い出す手段として放火したというネット上の“陰謀論”を補強するために利用されたという。

ジャーナリズム監視団体「ポインター(Poynter)」は、これらの“陰謀論”に関する報道を即座に否定し、それらの主張はあからさまに「虚偽」であると断罪している。

宇宙からのレーザー攻撃によってマウイ島が炎に包まれたという“陰謀論”にはかなり無理があるようだが、なぜマウイ島の火災が人為的なものであると考える人々がいるのだろうか。

マウイ島“スマートアイランド”化計画が進行中!?

ほかの陰謀論者は、火災後もまだ立っている木の画像を取り上げて、この火災が自然なものではないことの証拠であると主張している。

あるツイッターユーザーは「木以外はすべて燃えているが、それを指摘しないでください。さもなければ陰謀論者です」と書き込んでいる。

しかし真実を求める人々は、この陰謀論の欠陥をすぐに指摘した。

「一部の植物は、樹皮、枯れ葉、または湿った組織によって提供される断熱層のおかげで山火事に耐えることができます」と、ブリタニカ百科事典を引用したコメントが投稿されている。パイロファイト(pyrophyte)と呼ばれる耐火性の高い植物群には、断熱機能などによって山火事を生き延びるものもあるということだ。

「マウイ島の山火事はレーザー兵器によるもの」 SNSに無関係な画像が流布、トンデモ陰謀論の背景にある1つの真実
(画像=『TOCANA』より 引用)

「Daily Mail」の記事より

別の説では、マウイ島の大地主となっているジェフ・ベゾスやオプラ・ウィンフリーらをはじめとする勢力が海辺の土地を自分たちのものにするために大規模放火を画策したという主張が語られている。

また政府が先住民の住民を追い出し、AIが運営するスマートシティを構築するために火災を始めたと主張する人もいるようだ。

今年1月にマウイ島で開催されたスマートシティについてのカンファレンスで、マウイ島全体をオール電化の“スマートアイランド”にする構想が話し合われたという。つまりこの勢力がマウイ島の市街地をいったん“更地”にしようと企んだというのである。

“レーザー説”は否定されているものの、山火事が意図的に引き起こされたとする“陰謀論”は一部で今後しばらくはくすぶり続けるのかもしれない。

参考:「Poynter」「Daily Mail」「Daily Star」ほか

文=仲田しんじ

提供元・TOCANA

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