ヤマハ発動機株式会社は、ポリスバイクをはじめ、特装車の製品開発等を担うグループ会社ヤマハモーターエンジニアリング株式会社が開発した、次世代型のホースカー「X-QUICKER クロスクイッカー」を発表した。消防防災現場では、消防ポンプ車が入り込めない場合、隊員自ら火元までホースの延長や運搬を行っており、従来の人力手引き型では、坂道などで体力的負荷や時間がかかるため小型で軽量なホースカーが求められていた。そこで、パワフルかつ、引くだけの扱いやすい操作性で、コンパクトな車体に高出力モーターを2基搭載する電動アシストモデルの同車両を開発。6月に開催された「東京国際消防防災展」でも大きな注目を集めた同モデルは、2024年4月より販売を開始する予定だ。
迅速・確実・安心の技術で、いち早く最前線へ!
消防防災現場の「声」に応えて企画・開発
1本あたり約6~8㎏の放水用ホースが計10本、現場で必要となるその他資機材を合わせると、その重量はおよそ120㎏にもなります。消防ポンプ車が入り込めない狭い道などでは、隊員の皆さんが一分一秒を争いながら、火元までホースの延長や運搬を行っています。
写真は、当社グループ会社のヤマハモーターエンジニアリング(株)が開発した次世代型のホースカー(製品名:「X-QUICKER クロスクイッカー」)。コンパクトな車体に高出力モーターを2基搭載する電動アシストモデルです。パワフルかつ、引くだけの扱いやすい操作性で、6月に開催された「東京国際消防防災展」でも大きな注目を集めました。
「こうした製品を開発する上で、現場の声ほど大切なものはありません」と話すのは、企画を担当した杉山和弘さん。「人力手引き型では、特に坂道などで“体力的な負荷が大きく時間もかかる”という意見がある一方、従来の電動式ホースカーは“人と車両の動きが合わない”“大柄で重く消防車への積載ができない”など、より小型・軽量なホースカーが求められていました」と振り返ります。こうした現場の声から、緊迫した消火救命現場で消防隊員の迅速・確実な活動をサポートする電動アシストモデルの開発が始まりました。
ヒーローの活躍を「技術で支えたい」
少子高齢化や女性活躍といった社会課題は、消防防災の現場も例外ではありません。人命にもかかわる厳しい現場で多様な人びとが活躍するためには、一つひとつの活動に負荷の軽減に向けた取り組みが不可欠です。
電動アシスト機能をもったホースカーも、課題解決に向けたソリューションの一つ。しかし、「最適な制御を見つけるまでは苦労も多かった」と、開発を担当した藤井勲さんは話します。「引っ張る力のアシストは、自転車の構造とはまったく異なるものです。開発当初はガクガクしたり、ウイリーしたりの繰り返し。部門の仲間たちの協力を得てオフロードコースや坂道でテストを重ね、最終的には人機一体感のあるパワフルな制御を実現することができました」と手応えを感じているそうです。
最大アシスト時には、操縦者の負荷を最大80%軽減(当社調べ)する力強さや扱いやすさになり、特に発進時や登坂時、段差乗り越え時に抜群の機動力と踏破力を発揮。傾斜3度の登り100m試走では、アシストなしの場合と比べて8車身もの差が確認できました。
「火災の現場等で活躍する消防隊の皆さんは、頼もしいヒーロー」と杉山さん。2024年4月に発売予定の「X-QUICER」の前に立ち、「そのヒーローの活躍を、技術で支えることができたら、エンジニアとして本当に嬉しい」と話してくれました。
■消防防災製品
■広報担当者より
ポリスバイクをはじめ、特装車の製品開発等を担うヤマハモーターエンジニアリング(株)。消防防災関連製品については、1985年に東京消防庁との共同でホースレイヤーを開発したことを皮切りに、赤バイや投光器なども企画・開発し、38年もの実績をもっています。
リリース提供元:ヤマハ発動機株式会社