国際NGOプラン・インターナショナルは、紛争が続くウクライナから日本に避難してきた女性たちの日本での生活状況を把握するため、アンケート調査を実施しました。この調査は、自身も2022年5月に避難民として来日した同NGO法人の職員アンナ・シャルホロドウスカーさんが主体となり行われました。
本記事は国際NGOプラン・インターナショナルが行った調査を引用しています。
ウクライナ紛争による避難民の現状
2022年2月24日(木)に武力紛争が激化した東欧のウクライナ。その後数カ月間で国土が急激に荒廃したことが、広く伝えられました。
日本ユニセフ協会によると、子どもの3人に2人が避難を強いられており、世界でも最大規模の避難民危機が続いているということです。日本でも2022年3月2日(水)以降の合計2,486人(8/16現在の速報値)が避難民として受け入れを行っています。
日本ユニセフ協会|ウクライナ緊急募金
出入国在留管理局|ウクライナ避難民に関する情報
言葉や制度の違いが大きな障壁に
本レポートによると、この調査に応じた24歳以下の避難女性の大半は、自力で日本に避難してきているそうです。身元保証人の支援を受けての避難がほとんどだということですが、ウクライナを発つ時点では日本に友人・知人がいない状況だったそうです。
彼女らに日本での生活で苦労したことを問うと「日常生活上の問題(71.4%)」と「言葉の問題(64.3%)」という回答がもっとも多く集まりました。その他にも、言語学習、仕事探し、書類手続きや医療の難しさなどが挙げられています。
この結果には言葉の壁のみならず、書類手続きの難しさや医療へのアクセスなど、日本とウクライナの制度の違いなども強く影響を与えていることがうかがえます。
母国の教育をオンライン学習で継続
子どもと日本へ逃れた女性たちの子どもの年齢層は半数以上が学齢期(10~15歳未満)で、その76%が学校で学んでいるそうです。
同レポートは、4割超の子どもが、ウクライナの学校へのリモート登校と日本の学校またはインターナショナルスクール校の2校に通学・在籍しており、ひとつの学校(ウクライナまたは日本)にのみ在籍している子どもは3割いると伝えています。約12%の子どもは、学校に在籍していない状況でした。
母国の教育をオンラインで継続している子どもは約65%に上り、リモート教育を受けていない子どもは少数です。
一方で、日本語での学習がとても難しいとして、カリキュラム通りに学習することを困難と考える割合は67%に上ります。また、約42%が学校の言語サポート不足を指摘しており、多くの子どもたちが孤立を感じているということです。