それに対して、福利厚生制度の代表的なものである企業年金のうち、確定給付企業年金は、勤続年数が長いほど支給条件を働く人に有利になるように設計することで、人材の引き留め効果を生むことができる。実は、日本企業には退職金制度が古くからあり、そこでは長期勤続を奨励するように給付設計されていたのであって、確定給付企業年金の多くは、その退職金制度からの移行によって作られた経緯があるのである。

高齢化社会において、長く働ける環境が提供され、しかも、その結果として公的年金を補完する企業年金の給付を受けられ、老後生活を豊かにできること、このことは働く人にとっての大きな魅力でなくてはならないから、企業にとって、企業年金は、人を引き付け、人を引き留めるための有効な福利厚生制度として見直されるべきなのである。

森本 紀行 HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 HC公式ウェブサイト:fromHC twitter:nmorimoto_HC facebook:森本 紀行

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?