国交省の見解

 前述のとおりすでに国交省はビッグモーターへ調査に入っており、道路運送車両法違反が認められれば、車検場の指定や工場の認証の取り消し、一定期間の事業停止などの行政処分が下されることになる。その国交省がビッグモーターと深い利益関係にある損保ジャパンから、こうした厚遇を受けることは問題ないのか。行政の歪みにつながるのではないか。中央省庁官僚はいう。

「国民目線でみれば、それだけの恩恵を受けていて公正な調査ができるのかという声があがるのは理解できるし、なぜ昨年に事案が発覚してから今の今まで国交省が動き出さなかったのか不信を抱かれても仕方ない。ただ、今回の団体保険の件でいえば、行政組織のなかで国交省だけが特別に待遇の良い扱いを受けているわけではないし、これだけ注目されている事件だけに、それによって国交省による追及が甘くなるようなことはないだろう。日頃から行政組織は物品の購入やサービス、工事、システム開発、人材派遣などを通じて民間企業と多くの取引を抱えており、そうしないと行政が成り立たないので悪ではない。国交省だって自省で保有する車両を監督対象である自動車メーカーから購入しているだろう。ただ、やはり『割引』など、厚遇を受けているかのような誤解を国民に与えるような取引を民間企業との間で行うことは、自粛の検討の余地があるのでは」

 国交省に聞いた。

――損保ジャパンが国交省の職員向け団体保険において、30~40%程度の保険料の割引を適用しているというのは事実か。

国交省「当省職員向けの案内によれば、損害保険ジャパンを含む損害保険会社が引受保険会社となっている団体保険において、30%~40%程度の保険料の割引が適用されているとの記載があります」

――国交省の職員向けの損保ジャパン団体保険について、保険品目は。

国交省「当省職員向けの案内によると、損害保険ジャパンが引受保険会社となっている当省職員向けの団体保険の保険品目は、入院諸費用保険及び療養補償保険です。また、上記のほか、団体傷害保険がありますが、当該保険については損害保険ジャパン、東京海上日動、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保の4社が共同引受保険会社となっております。なお、自動車保険については団体扱保険となりますが、損害保険ジャパン、東京海上日動、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保の中から、契約を希望する損害保険会社を選択することとなっております」

――国交省は損保会社の監督官庁ではないものの、損保会社は主力商品である自動車保険を通じて自動車関連業界と深いかかわり合いがあり、その意味で、損保会社が国交省の職員向けに優遇的な商品を販売することは行政の歪みを生むことにつながるとの指摘もあるが。

国交省「団体保険における割引率については、損害保険会社における各種団体保険取扱規定等に基づき、団体の規模や各団体の加入実績、過去の保険金の支払実績に応じて損害保険会社が決定しているということで、国土交通省職員向け団体保険の割引率についても同様のルールの下に各損害保険会社において決定されたものであり、国土交通省を特別に優遇して適用された割引率ではないということを損害保険会社に確認しております」

(文=Business Journal編集部、協力=鬼塚眞子/保険ジャーナリスト協会代表)

提供元・Business Journal

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