1880年代の肖像写真に関する裁判で、最高裁は「作品の結果が作者のオリジナルの知的概念を表している」ために著作権の保護を与えたと例を示す一方、2015年にクロザルのセルフィー写真をめぐって動物愛護団体がサルの著作権を主張した裁判では、控訴裁判所は、すべての動物は人間ではないことから著作権法に基づく法的地位を欠いていると結論したと指摘。原告は、人間以外を起源とする著作物の権利が認められた判例を挙げることはできないとした。
この一方で、作品の制作にAIが組み込まれていくことで、「著作権の新たな境地に近づいていることは間違いない」と述べ、「AIシステムのユーザーが著作者として認められるためにどの程度の人的インプットが必要か、既存の未知の作品に基づいてトレーニングを受けたAIによる作品のオリジナリティをいかに評価するのか、AIの絡む創造的作品を奨励するために著作権がどのように活用されるべきなのかなど」について、「挑戦的な疑問」を投げかけていると見解を示した。
ただし、今回の訴訟の争点は単純だと指摘。問題はコンピューターによって自律的に生成されたものが著作権の対象となるかどうかの一点だとした上で、作品制作に人間の関与がまったくない場合、「明確かつストレートな答えはノー」だとした。
職務著作については、生成時に著作権が生じていないことから、著作権のオーナーシップの議論を取り上げる必要はないとした。ただし、著作権の条文では「明らかに人間のみを適格な従業員として想定している」とも説明した。
Thaler氏の弁護士は、裁判所の解釈には同意できないとして、控訴する意向を示しているという。