要因1:セカンドボールを回収しきれなかった
前半25分のアクシデントによる齊藤の交代が響いた神戸は、ディフェンスラインの前でのセカンドボールの回収が徐々にできなくなっていたことが、同試合勝ちきれなかった要因の1つに挙げられる。
顕著なシーンは、前半45分の柏先制時だ。跳ね返したボールを拾われ、柏の戸嶋に繋がれたことが失点に繋がった。特に前半は柏の戸嶋と山田が一歩引いて、ボールの回収に奔走。神戸はセカンドボールを回収しきれなかったことで柏に攻撃チャンスを与え、自分たちの攻撃回数を増やすことができなかった。
要因2:右サイドを封じられていた
いつもの神戸なら、右サイドでFW武藤嘉紀がボールをキープすることで時間を作り、そこへDF酒井高徳が絡んでくる。同試合ではそのシーンを見ることができなかった。
後半の48分、柏にチャンスがあったシーンでは、スペースを狙った酒井のランニングに対し柏のサヴィオが全速力で下がってパスカットし、そのまま攻撃に繋げた。サヴィオが神戸の右サイドを封じたと言っても良いだろう。サヴィオの同試合における走行距離は9.6Km。スプリント回数(時速25km以上で1秒以上走った回数)は19回と、出場選手のなかでもトップクラスを記録。守備にも攻撃にも顔を出した同選手に右サイドを封じられ、神戸は攻撃の手段を失った。
要因3:前線のターゲット不足
また、神戸にとって大迫不在の状態では難しいことを痛感する試合となった。当然、先発したFWジェアン・パトリッキや武藤が代役となることは可能であろう。しかし、今シーズンの吉田孝行監督下における堅守速攻スタイルの神戸の戦術から考えると、大迫の代役を担うのはかなりハードだ。
大迫のような前線のターゲットがいなくなると、得意としているクロスからの攻撃を活かすことができず、メインの得点パターンを失うことを意味する。武藤が前線のターゲットとなるか、今夏新たに加入したMF新井瑞希やMF日高光揮が違う攻撃のカラーを出すことができるか。吉田監督の手腕が問われる局面である。