建築家・川合健二さんが、自然の中で自給自足の生活を送りたいという想いから、トンネルや地下鉄などに使われるコルゲートパイプで建築したコルゲートハウス。
通称「川合健二邸」として知られる日本最初&最古のコルゲートハウスが1日1組限定、一棟貸しの宿に生まれ変わった。
ホテル「CORRUGATED HOUSE(コルゲートハウス)」として9月7日(木)、愛知県豊橋市にグランドオープンする。
日本最古のコルゲートハウスを改修「CORRUGATED HOUSE」
「CORRUGATED HOUSE」は、川合さんの哲学をそのままに建物と周辺敷地を改修し、“地球と縁を切ってみる”体験ができる宿泊施設としてリデザインされた一棟貸しのホテルだ。
元になっているのは生前の川合さんが1960年代、インフラから脱却し、自給自足の生活を送りたいとセルフビルドした個人住宅。
日常から切り離された生活を味わえる究極の空間としてDOCOMOMO(モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織)にも選出され話題となった。
「CORRUGATED HOUSE」では、建物の中だけでなく周辺のランドスケープにもその思想を取り込み、宿泊者は敷地内だけで自給自足を体験できる。
ベッドルームはツイン、ダブル、シングル各1つで合計5名が宿泊可能。シャンプー・リンス、ボディソープ・石鹸、タオル・バスタオル、フェイスタオル、ハミガキセット、部屋着、ドライヤーのアメニティを揃える。
なお、建築当時の空間を感じられるよう、エアコン・暖房設備は最小限となっている。体調に不安のある人や、子ども、年配者は注意が必要だ。
コルゲートハウスのほかに築100年の古民家を豊橋市内から移築した1日2組限定のゲストハウスもあり、川合さんが生きた時代を体感できる。
「体験」を重視した滞在オプション
滞在中のオプションプランにも独自の哲学が流れる。
ルームウェアには愛知県の伝統工芸「有松絞り」の染めを再構築したSuzusan(スズサン)のアイテムを採用。体験スタジオをもつ同ブランドと連携し、ワークショップを企画中だという。
また、施設内には川合さんゆかりの果樹やハーブが生い茂るFOOD FORESTがある。自然のハーブをつんでアロマを抽出する野草蒸留ワークショップや、農業体験イベントなども企画中。
ユニークなオプションとして、デジタルデトックス・プログラムがある。
一定期間スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器から距離を置く「デジタルデトックス」で、身体的なストレスだけでなく過度な情報による脳疲労の軽減を目指す。
「ながら状態」から脱し、目の前のヒト・モノ・コトと向き合うことで、コルゲートハウス滞在中の気づきや思考を深化させる。チーム・ビルディングにもおすすめだという。
オプション体験を希望する場合は、予約時に伝える必要がある。所在地などの詳細も予約時にわかる。
川合健二さんの自邸で、情報化社会から距離を置き人間性を回復させる自給自足暮らし。令和のいまこそ体験してみるのはいかがだろうか。
CORRUGATED HOUSE(コルゲートハウス)
開業日:9月7日(木)
所在地:愛知県豊橋市 某所
アクセス:JR豊橋駅から車で20分
定員:最大5名
料金:素泊まりプラン15万円、2DAYS FREE PLAN30万円、レンタカーパッケージプラン17万円/泊(30時間)
(SAYA)
『川合健二マニュアル』(編集出版組織体アセテート、2007)