プジョーから全く新しいジャンルの新型車がデビューした。「プジョー408」はクロスオーバー・ファストバックとでもいう新しいスタイリングで2023年6月に国内デビューをし、試乗してきたのでお伝えしよう。

【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=プジョー408 GT HYBRIID(ボディカラーはオブセッション・ブルー)、『AUTO PROVE』より引用)

プジョー408は2010年にセダンでデビューし、第2世代もセダンだったが、今回の第3世代では大きくデザイン変貌し、スタイリッシュなファストバックで登場した。

この408はステーションワゴンとSUV、そしてファストバックというデザイン要素を盛り込んだ新しいジャンルで、SUVのオフロード要素を削りアーバンライクな要素を取り込んだデザインだ。ボディサイズはC/Dセグメントサイズで、全長4700mm、全幅1850mm、全高1500mm、そしてホイールベースが2790mm、EMP2のプラットフォームを採用している。

【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=全長はシトロエンC5X(4805mm)より105mm短い4700mm、『AUTO PROVE』より引用)

シトロエンのC5Xやトヨタ・クラウンにもこうした要素が入り、もはや従来のデザインカテゴリーで語るのが難しくなってきている。電動化に伴い新しい価値観が訴求されている近年、デザインやプロファイルでも新しい価値が提案されていると理解できる。

■欧州式プラグインハイブリッド

さて、試乗してきたのは「プジョー408 GT HYBRIID」でハイブリッドという名称だが、システムはプラグインハイブリッドである。そして欧州車のPHEVは急速充電をして使うことは想定しておらず、普通充電の充電口が装備されているだけだ。これはプジョーに限らずで、EV走行はリージョナルなエリアで使用し、長距離やハイスピードの高速道路ではエンジンで走行するという考え方が浸透しているからだ。

日本車との違いは、やはり道路環境の違いがそうしたクルマの使い方の違いに現れ、PHEVは自宅ないし長時間停めておく環境で充電するということになるわけだ。

【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=1.6Lターボエンジンはハイオク仕様だ、『AUTO PROVE』より引用)
【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=充電口は左リヤサイドに設けられている、『AUTO PROVE』より引用)

この408GT HYBRIDを見ると1.6Lの4気筒ガソリンターボを搭載し、それに電動モーターを搭載している。つまり、高速道路は1.6Lターボで走行、およびハイブリッド走行。市街地はEV走行、およびハイブリッドやエンジン走行ということになる。スペックではエンジンが225ps(135kW)/250Nmでモーター出力は81kW(110ps)/320Nmだからモーターで動きだし低速域ではEV走行、高速になるとエンジンというわけだ。搭載するバッテリー容量は12.4kWでEV走行距離は66kmとなっている。そして充電は6kW/200Vで2時間30分で満充電にできる。

またハイブリッド走行は、エンジンをモーターアシストということも行なわれている。これはバッテリー状況やアクセル開度にもより、ドライバーの意図と電池残量から最適なパワートレインを選択しているわけだ。また、バッテリー残量がゼロを示していてもEVアシストやEV走行もする場面があり、メーターでは表示しないバックグランドでの電力を持っているようだった。

■静粛性が高く滑らかに走る

この新型408の最大の特徴はこのスタイリングにあると思うが、走行してみると、その静粛性の高さや滑らかに走る高級感、i-cockpitから作り出されるスポーティな走りにも大きな魅力があると感じた。

乗り出しはバッテリー状態が充電された状態のためEV走行がメインで走行し、EVらしく滑らかにそして静かに走る。アクセルを踏み込むと瞬時にトルクが立ち上がり、力強い加速をする。高速に乗り車速が上がるとエンジンも稼働しているが、その稼働したタイミングがわからない。それはバッテリー残量がゼロになった時も同様で、インジケーターで確認しなければエンジン走行であることがわからないほど静かに走行するのだ。

【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=ブラックを基調としたインテリア、『AUTO PROVE』より引用)
【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=シートはテップレザー&アルカンターラ仕様、『AUTO PROVE』より引用)

いつのまにプジョーというブランドがこれほど滑らかで、静粛性が高く高級な印象を与えるブランドになったのか、という驚きもあったほどだ。先入観ではスポーティな印象が強かったものの、こうした新しい価値を乗り味からも提供していると言っていいだろう。

■ i-cockpit

インテリアはプジョーの特徴であるi-cockpitで小径のステアリングが装備され、ステアリング上部からメーターを見るスタイルだ。プレミアムモデルと比較すれば、そっけないインテリアに見えるが、直線の強いデザインは十分個性的なインテリアだと感じる。

【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=プジョーの特徴であるi-cockpit、『AUTO PROVE』より引用)
【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=小径ステアリングホイール、『AUTO PROVE』より引用)

タッチスクリーンは10インチサイズが装備され、センターコンソールからのつながりに一体感のあるi-cockpitになっている。そして、タッチスクリーンの下にはデジタルトショートカット機能の「i-toggle」があり、使い勝手が良い。さらに最新の運転支援システムとインフォテイメントのi-connectを搭載している。

ラゲッジは536Lあり、荷室内に凸凹の少ない使い勝手のよいラゲッジになっている。そして後席を倒せば1611Lの容量になり、フランス車らしい実用性を持たせているところも好印象だ。

【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=凹凸の少ないフラットな形状、『AUTO PROVE』より引用)
【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=シンプル操作で使い勝手も良い、『AUTO PROVE』より引用)

このスタイリッシュなエクステリアデザインから、キャビンスペースや荷室容量が犠牲になっていそうな印象もあるが、そこはフランスブランドのこだわりなのだろう、実用性を犠牲にしないつくりはポイントが高い。

装着するタイヤは205/55-19インチで、幅狭の大径サイズという近年の特徴になってきているサイズだ。試乗車には電動車向けに開発したミシュランのe-プライマシーを装着していた。

【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=日本仕様は全モデルに19インチの大径アロイホイールが装備される、『AUTO PROVE』より引用)

■ 刺激的なデザイン

そして最も目を惹くのは、やはりエクステリアデザインだ。これは真横からのスタイルが素晴らしく、ファストバックデザインのルーフラインはスピード感を持ち、大径タイヤによって力強さも匂わせるサイドビューだ。

【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=第3世代の408はファストバックデザインへと変貌を遂げた、『AUTO PROVE』より引用)

フロントは、センターにライオン・エンブレムを配した大型フレームレスグリルを採用し、ボディ同色グリッドデザインとしている。そして、走行状況に応じて自動で照射をコントロールする薄型マトリックスLEDヘッドライトを装備し、ライオンの牙をイメージさせるデイタイムランニングライトでその存在感が強調される。

テールランプはライオンの爪痕の3本のラインのLEDランプを装備。プジョーのアイデンティティをここでも表現している。

【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=『AUTO PROVE』より引用)
【試乗記】クルマの新しい価値をカタチでも表現している新型プジョー408 GT HYBRID
(画像=『AUTO PROVE』より引用)

商品ターゲットは若者や女性としており、新しい価値をさまざまな角度から提供している408は、固定観念の強いユーザーには響かないデザインになる可能性があり、ヤング層というワードが出てきたのだろう。試乗車の車両本体価格は629万円でオプションを入れると630万7215円という価格だ。新しい自動車のカタチに敏感な人は要チェックのモデルとお伝えしよう。

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価格

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(画像=『AUTO PROVE』より引用)

諸元

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(画像=『AUTO PROVE』より引用)

提供・AUTO PROVE

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