猛暑で急速充電器がダウン

また先日、首都圏の高速道路にあるPAに充電のために立ち寄ると、急速充電器のディスプレイに「出力抑制中」という文字が表示されていた。もしかしてクルマに問題があるのかもしれないと思い問い合わせしてみると、この急速充電器はあまりメンテナンスが行われていないので、出力が出ないという答えだった。

まだ今回は充電できたからよいが、使用頻度の低い「道の駅」や公共施設にある急速充電器は、故障したまま放置されているケースもある。そして最近、猛暑で急速充電器が使用できなくなったことが大きな話題となった。

そこで、急速充電器の主要メーカーの製品の環境条件を調べてみた。

新電元工業株式会社の大出力急速充電器は環境条件として、「周囲温度は−20~+40℃、周囲湿度は30~90%」、設置場所として「屋外(ただし海岸から距離500m以上の場所に限る)」となっている。また、同じく大手のニチコンの100kW急速充電器の環境条件は、「使用温度範囲−20~+40℃」となっている。こうして見ると、日本における急速充電器の使用温度範囲は「−20~+40℃」で、2023年の最高気温だとかなりギリギリといえるかもしれない。

また、急速充電器は冷却装置が付いている。話題となった急速充電器は、この内蔵されている冷却装置がキチンと機能しなくなってしまったのだろう。新電元の製品には独自の冷却インレットを採用し、冷却時間が約40%も短縮されているものもある。やはり連続で急速充電器を使用すると、クルマだけでなく充電器も傷むということだ。

BEVの普及は、クルマの性能アップだけでなく、急速充電器を含むインフラの普及が鍵となる。また都市部では集合住宅が多いため、一軒家のように充電器を設置しにくい。ここを改善していかないと、なかなかBEVが日本で普及するのは難しいといえるだろう。

一部メディアで、日産をはじめとした自動車メーカーがテスラのスーパーチャージャーを利用できるように充電ジャックを変更すると報じられた。BEVで勝者となるのは、クルマ本体の性能と価格だけでなく、急速充電器を設置し、サービスをさせたメーカーになると考えている。

(文=萩原文博/自動車ライター)

提供元・Business Journal

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