9・11同時多発テロ事件を契機に、米国の対テロ戦争は始まったが、9・11の主犯ウサマ・ビン・ラーディンを射殺した後も米軍の対テロ戦争は継続され、アフガンの民主化、国づくりへの支援に広がっていった。しかし、タリバンがカブールを占領すると急転直下、米軍兵士たちはアフガンから撤退していったわけだ。

ちなみに、タリバン政権が運営するアフガンに中国が接近してきている。アフガンの豊かな希土類(レアアース)が狙いだともいわれる。同時に、アフガンは過去、不法なアヘン栽培で世界のアヘン市場を独占してきた歴史がある。それだけに、タリバン政権内の動向次第ではやはり内戦が起きる可能性を排除できない(「『帝国の墓場』アフガンと中国の関係」2021年8月20日参考)。

タリバン勢力がカブールに侵攻した直後、アフガンで女性の教育を推進してきたサケナ・ヤコ―ビ博士(Sakena Yacoobi)から支援を求めるメールが届いたことがあった。博士は女性たちに教育の場を提供するための「Afghan Institut of Leraning」(AIL)という名称の非政府機関(NGO)の責任者だ。その後も定期的にメールを頂いたが、ここ半年、メールが途絶えている。文化闘争を展開するタリバン現政権にとって、女性の教育を推進する博士は危険な人物だろう。博士の安全が懸念される(「アフガニスタンの『地上の星たち』」2021年12月16日参考)。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年8月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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